リオ過去編-15 空中庭園にて最終決戦!後編

 遺跡にあった一番大きな建物に入ったぞー。さすがに500年経ってるからボロボロだけど、床とか壁とかの基本的な部分については問題なさそうだなー。

 

 ただ、戦闘が起こったら崩れるかもなー。

 

 たくさんの魔獣がいたぞー!でも、アイリのデバフで無力化され、オルとアイリでどんどん倒していったぞー。

 

 道中にはワナはなかったなー。とにかく魔獣が多い!ってな状況だったぞー。

 

 そして···、ついに最奥に到着したんだー。ただ、その前にはものすごい数の魔獣がいたんだー!どいつもこいつも『魔玉』と言われる、魔獣を強化するものが埋め込まれてるようだったぞー!これは厳しいなー!

 

 そう思っていると、

 

 

「リオ!ここはオレとアイリに任せろ!」

 

「キツイデバフをかけてやりますわ!リオは魔法で一閃して道を切り拓いて!」

 

「よーし!ここは任せたぞー!」


「ええ!気をつけるんですのよ!···さて、ここは通行止ですわ。迂回もさせませんわよ?」


「さ~て!オレも後先考えずやるか!

 死ぬぜ~!オレに近づいたら、み〜んな死ぬぜ~!!」

 

 

 デバフがかかったと同時にオレは竜モードになってブレスを吐いた!

 

 ···ついに大魔王とご対面だ。

 

 

「ここまでやって来たか···。つくづく余の邪魔をしてくれるな!」

 

「お前が大魔王ムーオか。これ以上、好きにはさせんぞ!」

 

「たった1人だけで何ができるというのだ?貴様なんぞに余の計画の邪魔はさせんぞ!」

 

「計画だと?貴様の目的はなんだ!?」

 

「はっ!よもやそんな事も知らずにノコノコとやって来たのだな?無論、この世界を支配することよ!」

 

「支配してどうするつもりなんだ!?」

 

「フンッ!貴様では理解出来ぬよ。今よりも安全で、安心できる世になるというのに···」

 

「そうか。その目的のために多くの犠牲が出たんだ!ここで止めさせてもらう!」

 

「ほう?やれるものならやってみるがいい!おのれの無力を思い知れぇーー!!」

 

 

 こうして戦いの火蓋は切って落とされたんだー。

 

 戦いは凄まじかったなー。この時はまだ気づいてなかったけど、ダミーだったからこの前の本体よりかは強くはなかったぞー。

 

 でも、オレ1人だけでの戦闘だったから大変だったぞー。

 

 そうして、残り魔力が少なくなってオレはちょっと焦っちゃったんだなー。『ここで決めなくては!』って思っちゃったから、エセムから聞いていた禁断の秘術に手を出してしまったんだなー。

 

 

『いいですか?リオ。この秘術は絶対に使ってはいけません。自爆技ですからね~。

 仮に生き残ったとしても魔法は2度と使えなくなるでしょう。使えたとしてもほとんど使い物になりませんよ?えっ?なぜ教えたんだー?ですって?

 ···これが最後の手段・・・・・だからですよ。あなたに仲間や家族ができて、守りたいのに守りきれなかった!って後悔をしないためのものなんです。

 そして、これを回避するためにいろいろと対策を考えてもらうためですよ。

 いわゆる『切り札』を考えるためのものなんですね~。

 いいですか〜?これを使わざるを得ない状況にならないように立ち回るのですよ?』

 

 

 これの使い所はまさに今だ!オレは!これを使っても生き延びてみせる!

 

 

『アニマ・ルイナ!!』

 

 

 禁断の言葉をつぶやいたとたんに、猛烈な魔力がオレの体の中を駆け巡った!

 

 

「ウォオオオーーー!!!」

 

「な、なんだ!?魔力が跳ね上がった!?」

 

 

 魔力の源泉である『魂の器』の崩壊。これを使えば短時間だけ爆発的な魔力を得ることができるが、代償として魂が壊れて死んでしまうか、2度と魔法が使えなくなるんだ。

 

 あっという間に燃え尽きる前に!決めてやる!!

 

 しかし、オレの猛攻にもムーオは耐えていた!しかも、耐えきれば勝つ・・・・・・・と見抜いていやがった!

 

 失敗だったかなぁー?でも、もう後戻りはできない!次の、最後の大技で決めてやる!!

 

 

「これでっ···、終わりだぁーーーーー!!」

 

 

 残るすべての魔力を口に収束させて、最大威力のブレスを放った!!

 

 しかし、ムーオもやられまじとして渾身の魔力を集めてオレに向けて放った。

 

 双方の最大威力の魔力砲は激しくぶつかり、その衝撃で空中庭園は大規模な崩壊を始める。

 

 ぶつかった攻撃は徐々にオレの方へ押され始めた。

 

 

「グフフフ!その程度かぁ!?この勝負、余がいただくぞ!」

 

「ぐっ、思ってた以上に消耗してたか···。ならば!」

 

 

 今の攻撃を目くらましにしようと魔力砲の向きをわずかに下にずらして双方ぶつかった状態の魔力砲を上空へそらし、空中で大爆発を起こさせた。

 

 強烈な爆風がムーオに叩きつけ、また爆風を利用してオレは空中庭園を吹き飛ばされるような形で脱出に成功したんだ。

 

 ···オレ自身はここまでだが、次代の整調者ピースメーカーがお前を倒してくれるはずだ!

 

 

「ハァ、ハァ、あんたの手の内はすべてわかった。次こそは必ず···、ん?なんだあれは?」

 

 

 空中宮殿の上空には、先ほど大爆発を起こした魔力砲のところの空間に亀裂が生じていたんだ。

 

 その亀裂は少しずつ拡がっていき、周辺がバチバチと黒い雷で帯電していく。

 

 そして大きく空間が裂けると、見たことのない規模の雷が崩壊しつつあった空中庭園を直撃した!

 

 

「ぐぅっ!な、なにが起こったんだ···?」

 

 

 あまりの閃光と轟音で目を閉じたオレだったけど、目が焼けて視界がぼんやりして、耳も轟音で一時的に聞こえにくくなった。

 

 ある程度視界がきくようになり、周りを見渡すと···、それまであった空中庭園は跡形もなく消滅していたんだなー。

 

 ムーオも見当たらず、どうやら先ほどの雷撃で消滅してしまったように見えてたんだなー。

 

 その時に上空を見上げると、空間の亀裂は消滅していたけど、そこにはなぜか小さい子がおり、ゆっくりと落下し始めていたんだなー。

 

 

「な、なんで空から人間が!?と、とりあえず助けねぇと!!」

 

 

 オレは残った力で何とか飛翔して人間を捉えることができたが、その時点で魔力が尽きてしまったんだー。まー、無理通り越してたからなー。

 

 共に落下していく中、オレは神からもらって指にはめていた『帰還の指輪』を発動させて拠点に生還することができたんだなー。

 

 この時の子がアキだったんだなー!

 

 まー、拠点に戻ったのはいいんだけど、着いた直後に体が縮み始めたんだー。魂の器の崩壊によるものだったけど、なんとか生き残って、小さな猫っぽい姿になって、貧弱な魔法のみ使える状態になっちまったんだよなー。

 

 多分、整調者ピースメーカーとして契約した時に魔力量強化していたおかげだと思うぞー。

 

 そして、アキに魔法を教えて、カイジでカーネとアイリに再会して、アキにオレの魂の器を修繕してもらって今のオレがいるんだぞー!


 

 

「ちょっと端折ったけど、こんな感じでどーだー?」

 

「パパってすごいなぁ~。自分の命を賭けてまで世界を救おうとしてたんだもんなぁ~」

 

「おーい、ケン?オレのマネは絶対にするなよー!命が一番大切だからなー」

 

「パパの教え方が上手なのは、そのエセムさんって魔術師の人のおかげなのね!わたしも会ってみたいなぁ~」

 

「リナー、エセムはもう死んでると思うぞー。50年前だったからなー。まー、もし生きてるならお礼は言いたいなー!」

 

 

 後日、ナナが食料品を買いにオレのしっぽを引っ張りながら買い物に出かけた際、杖をついて腰の曲がったおじいさんから声をかけられたんだぞー。

 

 

「ん~~?白銀竜の〜〜、青年〜〜?どこかで会ったことがあるような〜〜?」

 

「へっ?オレの事かー?」

 

「おおっ!?語尾を微妙に伸ばす白銀竜か!?わしはエセムって名なのじゃが、済まんが名前を聞かせてはもらえぬか?忘れてしまってのう」

 

「エ、エセムだってーー!?オレだよ!リオだぞーー!!生きてたんだなー!!」

 

「···リオ?···おおっ!そうじゃった!整調者ピースメーカーにもなったんじゃったなぁ~。元気そうでなによりじゃ」

 

「おう!あんたのおかげで幸せに暮らしてるぞー!どうしてここにー?」

 

「腰痛がひどくてな。温泉とやらがいいらしいので来たのじゃ。そう言えばお主の魔法を見せてもらいたいの!」

 

「いいぞー!ついでに家族と知り合いの家族も見てもらうぞー!」

 

 

 その日の夕方、リオの訓練場にて···

 

 

「ドラゴンキャノン!!」

 

「「Wドラゴンキャノン!!」」

 

「「Wエクスプロージョン!!」」

 

 

 あまりの高威力にエセムは開いた口が塞がらず、入れ歯が落ちてしまってたぞー···。

 

 まー、50年越しの約束はこれで果たせたなー!

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