リオ過去編-14 空中庭園にて最終決戦!前編

 王都での大規模なスタンピードはなんとか殲滅を完了し、後片付けも手伝い、式典も終了したオレたちは、3日のんびりしていたんだー。

 

 

「ぐおー···、ぐおー···。すぴー···、すぴー···。ん~~···。メシはまだか〜〜···」

 

「···はぁ~。相変わらずこの寝坊助の寝相はひどいですわね?」

 

「ははは!アイリよ。リオが寝坊助できるということは平和だということだな!戦時は短い休憩で多くの戦果を挙げたのだ。やる時にはやる男だよ」

 

「カーネの言うとおりだな~。結局は半分程度をリオ1人でやっちまったからな~」

 

「やっぱり広域殲滅魔法がすごすぎたわね~。···カーネ?最終決戦の時には大魔王をリオにお願いする?」

 

「そうだな。戦力的にはリオが最強だろう。近距離は体術で、長距離は魔法で。どの状況においても対応できそうだしな」

 

「じゃあ、オレらはリオをいかに無傷で大魔王にぶつけてやれるか?ってとこが勝負だな」

 

「そうね〜。オル?あなたは最奥手前までリオを案内してあげてね~。絶対リオはうっかりさんを発動して、ワナに全部かかっちゃうし~」

 

「ははは!そうだな。任せとけ」

 

 

 オレが気持ちよく寝ている間にそんな話をしてたと知ったのは10年後だけどなー。

 

 

 そしてこの日。ついにムーオの居場所が判明したんだぞー。

 

 

『(整調者ピースメーカーの皆さん···。きこえますか···?あなたの心に直接呼びかけています)』

 

「うぉっ!?いきなりなんだー!?」



 ビックリしたぞー!これって神のそばにいた『ナビくん』ってヤツの声だなー。


 

「これは神託ですわね···。なにかあったのでしょうか?」

 

『いきなりごめんね~!ちょっとエレく···、ゲフンゲフン!神が所用で話せないからボクから伝えるね~!

 ムーオが見つかったよ~!かつて浮遊大陸にあって、500年前の侵略戦争後に使われなくなった空中庭園を乗っ取っちゃったんだよ~!

 ボクのお気に入りのおもちゃ···、じゃなくて!とっても強力な決戦兵器なんだよ~!

 どうもそっちに向かってるみたいだからなんとかしてね~!よろしく〜!』

 

 

 ···毎度思うけど、こいつらって緊張感ねーなー?まるで『やり直しがいつでもできる』って考えてるんじゃねーかー?

 

 

「向こうからやってくるか。これは好都合だな。オレは王女に状況を説明しに行ってくる」

 

「じゃあ、オレたちは作戦会議やっとくわ」

 

 

 はーー、もうゆっくりできないのかー。仕方ないなー。さっさと大魔王倒してのんびりするかー。旅もしてみたいしなー!

 

 

 そうして打ち合わせをしていると、カーネと一緒に王女がやってきたぞー!?

 

 

「みんな、楽にしていいわ。私もそうするから」

 

「あれー?王女〜?なんか雰囲気違わなくねー?」

 

「こら!リオ!」

 

「アイリ、いいのですよ。素はこれなのでね。この前まではしっかりとした態度をとっておかないと、兵士たちが安心しないからああしてたのよ。なかなか格好よかったんじゃないかしら?」

 

「そうかー。今でも無茶苦茶なとこは変わってないけどなー」

 

「そうかもね?でも、父がちょっと頼りないから、ある程度は無茶やらないと国が回らないというのも事実なのよね。

 そうそう、カーネから聞いたわ。空中庭園って言うものがこちらに迫ってるそうね?対応は任せていいのかしら?カーネ?」

 

「はっ。空中庭園と言う名からすると、空に浮かんでるのは間違いないでしょう。

 リオは空を飛べますので、リオに乗って突入します」

 

「了解したわ。念の為、国民には避難指示を出しておきましょう。···国民にはさらに負担をかけてしまいますが、やむを得ないですね」

 

「心中お察しします。我々としても、被害を最小限にするべく、奮戦します」

 

「わかったわ。見張りには王都に近づく空飛ぶ物体を見付け次第、すぐに連絡するよう伝えておくわ。それまでに英気を養っておいてね」

 

 

 空中庭園がやって来たのは次の日だったぞー。

 

 

「な、なんじゃこりゃー!?」

 

「···デカイな」

 

「地上に向けてたくさん砲台あるじゃねーか!?避けられんぞ!?」

 

「あんまり接近を許したらマズイわね~。すぐに向かいましょうね~」

 

「そうですわね!リオ!頼みますわよ!」

 

「おう!任せとけー!」

 

 

 オレは竜モードになり、王城の中庭から飛び立ったぞー。兵士や避難中の国民たちから思いっきり応援と手を振られたぞー!

 

 ちょっといい気分だなー!よーし、せっかくだからちょっとだけ面白いものを見せてやるぞー!

 

 

「ちょっとリオ!?どこに行こうとしてるんですの!?」

 

「わかってるぞー!ちょっとした仕掛けをするだけだー。1分もかからんぞー!」

 

 

 オレは水魔法であたり一面に細かい水をばらまいてやったんだー。すると、地上からはこんなふうに見えてるはずだぞー。

 

 

「これは!?虹?」

 

「うわぁ~!キレイ〜!」

 

整調者ピースメーカー様···。こんな粋な励ましをされるとは···。神よ!感謝いたします」

 

「がんばえ〜!」

 

「リオ···。ふふっ!なかなかカッコいいですわね。···さて、宰相。現在の避難状況を。物資の搬入に滞りはないか?」

 

 

 

「リオよ?さっきは何をしたのだ?」

 

「キレイな虹を見せてやったんだぞー。ちょっとは元気になったんじゃないかなー?」

 

「へぇ~。粋な事をするんだな。まぁ、落ち込んでるよりかはいいか!」

 

「のんきに話してる場合じゃないですわ!砲台がこちらを向いてますわよ!?リオ!回避!!」

 

「おう!捕まってろよー!飛んでる鳥は狩られにくいのと同じだー!当たらせはせんぞー!」

 

 

 いっぱい砲弾が飛んできたけど、どれも一直線で飛んでくるだけだなー。当たらなければどうということもないぞー!

 

 そう思ってたら、今度は飛ぶ魔獣が出てきたぞー!?コイツはマズイなー。これ以上速度は上がらないしなー。なんとか庭園に辿り着かないとなー!

 

 無数の魔法やブレスを避けつつ、ちょっとだけ被弾したけども、強行突入するぞー!

 

 なんとか着地したけども、どちらかと言えば墜落に近かったなー。まー、カーネたちは無事に届けたけどなー!


 なんだかきれいなところだなー。見たことのない花が咲いてたりしてるぞー。庭園って名前がつくだけのことはあるなー。

 

 

「大丈夫か!?かなり荒っぽかったぞ?」

 

「イテテテ···。まー、大丈夫だぞー。かすり傷程度だぞー。さて、ここからどうするー?」

 

 

 このあとの作戦を聞いたところ、思いもしない回答が帰ってきたんだぞー!

 

 

「リオ。大魔王との対決はお前に任せる。オレたちはそこまでの道を切り拓く!」


「えっ!?カーネ!オレがやるのかー!?」


「そうだ!お前が最強だからな!無傷で届けてやるぞ!他は護衛と陽動だ」

 

「私は下の砲台を潰してくるわ~。無差別攻撃させるわけにはいかないしね~」

 

「オレも武装を派手に壊してくるぞ!アイリ、オル!リオを頼んだぞ」

 

「お任せ下さいな、兄さん。···ご無事で」

 

「ははは!そう簡単にやられはせんぞ?」

 

 

 こうして、カーネとネータが走っていったぞー。···場所わかるのかー?

 

 

「リオ!オレたちも行くぞ!」

 

「道中のザコは私とオルで対処しますわ!」

 

「おう!頼むぞー!」

 

 

 まー、だいたい大魔王って上の方にいるんだろうなー。オレたちは遺跡の建物の中に入って行ったんだー!

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