リオ過去編-05 やっと領地に着いたぞー!
「『エセム・マグレヴ』、別名『変幻自在』と言われる大陸一の魔術師だよ」
「へっ···!?大陸一の···、魔術師だってー!?」
···もしかして、オレってとんでもない人から魔法を教わったのかー!?
「そんなに有名人だったのかー!?ただの方向オンチで小柄で髪がボサボサの男の人だったぞー!?」
「やはりか、本物だな。リオはエセムの弟子だったのだな。だが、エセムは魔法を教えるのは極端に嫌がる御仁のはずだ。リオをなぜ弟子にしたのかはわからんな」
「ただ単に迷子になってオレが住んでたところにやってきて、街道に案内しようとしたら魔獣が現れて、魔法で退治してくれたのを見てお願いしたんだぞー。なんでオレには魔法を教えたんだろうなー?」
「もしかしたら、リオに可能性を見出したのかもしれんな。私も一目だけ見たことがあったが、あの御仁もただ者ではないのでな」
「ということは『見た』んだなー?」
「そうだ。ただ···、リオほどではなかったな」
「えっ!?オレの方がすごいのかー?」
「ああ。まぁ、あくまで可能性ではあるがね。ますます気に入ったぞ。うちの領地に住んでみないか?家も用意するぞ?」
「あー、それはお断りするぞー。エセムも言ってた旅をしてみたいんでなー」
「そうか···。まぁ、気が向いたら寄ってくれ。その時には子も産まれているだろうからな」
「おう!そうさせてもらうぞー!」
まさかエセムがそんなにすごい人だったとは思わなかったぞー!教えてもらえてラッキーだったなー!
そしてたらふく食べさせてもらって、オレは馬車のそばで竜モードになって寝ることにしたんだぞー。酒場を出る時に隊長から『食べすぎだ!』って怒られたけど、そんなに食べてないんだけどなー。パイルも笑ってたしなー。
外で寝る時は竜モードで寝るんだー。人型だと寝てる間は竜気を使えないから、ふとんがないと寒すぎるしなー。
竜モードだと馬車の馬が最初怯えてたなー。まー、食べられないとわかってくれたから落ち着いて今は横で寝てるぞー。ドラゴン族は最強種族と言われてるからなー。動物とかだと結構怖がられるんだなー。魔獣はお構いなしに襲い掛かってくるけどなー。
さーて!おいしい食事もたらふく食べたし、
翌朝。
「おい!起きんかーーー!!今日も!いつまで寝てるつもりだー!?」
「ん~~···。むにゃむにゃ···。え···?もう、朝かー···?」
「朝じゃない!!もう昼前だーー!!また貴様のせいで出発が遅れたではないかーー!!」
「···えーー!?もうそんな時間なのかー!?昨日は早めに寝たのにーー!?」
「知るか!!さっさと準備しろ!」
「わ、わかったぞー!!」
うーん···。昨日は早めに寝たんだけどなー?
そうして12日目にやっとカイジって町に着いたぞー!道中にはやたら魔獣が多かった場所もあったけど、おれの魔法で一掃したからなー。悪いけど、隊長の出番はなかったぞー。
「無事にたどり着けたな。これもリオのおかげだ。感謝するよ」
「礼を言われるようなことはしてないぞー。護衛料ももらえるんだからなー。当然だろー?」
「ははは!そうだな!では、領主邸に向かうとしようか。今日は1泊していくといい。出発は明日でいいかな?」
「おう!構わないぞー!」
そうして門が見えてくると···、なんだか様子がおかしいぞー?
「パイル様!ご帰還、お疲れ様です!」
「···何かあったのか?かなり騒々しくなっているようだが?」
「···大変申し上げにくいのですが本日の昼頃に魔獣が数体、町への侵入を···、許してしまいました」
「なんだと!?今はどうなっているのだ!?」
「はっ!現在は3区付近に追い込んでおります。3区および隣接する1~5区の住民に避難指示を出しておりますが、まだ避難が完了しておりません!
なお、非番の兵士も含めて守備隊を除く全兵力で対応しております!」
「···わかった。私も現地へ向かおう。隊長、馬車はそのまま領主邸へ向かわせてくれ。リオ、手伝ってもらえるかな?」
「おう!任せとけー!パイルさん、走っていくとしんどいから、オレの背中に乗ってくれー!」
「いいのか?では、お言葉に甘えさせてもらおうかな?」
「おう!···じゃー、いくぞー!!」
「3区は門を入って斜め左方向だ。よろしく頼むぞ!」
オレは竜モードになって飛び立った!場所を教えてもらったけど、煙が立ち上り始めたから、空からだとわかりやすいぞー。
門から3分ぐらいで現地に到着したぞー。まずはパイルさんを降ろしてあげたぞー。
「なぁっ!?ド、ドラゴン!?」
「慌てるな!私だ!助っ人を連れてきたぞ!」
「パイル様!?ご帰還されたのですね!?」
「あいさつは後だ!状況は!?」
「現在は被害を増やさぬよう、1か所に押し込むようにしていますが、討伐には至っていません。人手が不足しておりまして、包囲網が破られるのも時間の問題かと···。ですので、現在は避難を最優先に取り組んでおります!」
「よし!私も指揮隊に入る。リオ!魔獣をお願いできるかな?」
「おう!あっちだなー!?」
「魔獣は5体で、ダ・ダーン鳥です!気を付けて!」
おー、あのバカでかい鳥かー!地面を踏みつける音が『ダ・ダーン!』ってするからそういう名がついてるんだけどなー。足が速すぎて門を突破されたんだなー。キックが超強力だから、気を付けないとなー!あれは結構おいしいんだぞー!倒して今日の晩飯にしてもらうぞー!
オレはまた空へ飛びあがり、ダ・ダーン鳥を探したら···、いたぞー!周りの建物が壊れてしまってるなー。でも、あの高さなら飛び越えられないだろうから、まずは道に壁を作って逃げられないようにするぞー!
壁はまずダ・ダーン鳥の前面からだぞー!あいつらは視界がほぼ全周だから、背後からのバックアタックは通用しないんだなー。
オレはまずは土壁魔法を兵士とダ・ダーン鳥の間に展開してやったぞー。ちょっと距離が離れているから魔力消費が激しいけど、ここだけで済むから問題ないぞー。
何もないところから土壁が出現して驚いたダ・ダーン鳥はすぐに後ろへ逃げようとしたけども、その前におれが後ろにも土壁を作ってやったぞー!これで包囲網は完成だなー!
あとはストーンキャノンで頭を撃ち抜くだけだぞー。まー、外しても逃げ場はないから確実に仕留めれるけどなー。
よーし!ハンティング完了だぞー!どうだー!!オレだって狩りができるんだぞー!!魔法しかできなくっても、こうやって魔獣を倒せるんだからなー!
捕獲用の土壁を壊していると、パイルさんがやって来たぞー。
「おお!もう討伐できたか!」
「おう!兵士さんたちが上手に追い込んでくれてたからなー!パイルさん!この鳥ってうまいから、今日の晩飯に追加してくれー!」
「ははは!そうかそうか!では、後で領主邸に運び込むとしよう。···悪いが、回復魔法は使えるか?負傷者が結構いるのだが?」
「おう!もちろん使えるぞー。案内してくれたらやるぞー」
「すまんな。疲れてるだろうに」
「この程度はドラゴン族だから大丈夫だぞー」
そうしてオレは負傷者が運び込まれているっていう建物の中でたくさんの人に回復魔法をかけてあげたんだー。
うん!オレの魔法は役立ってるなー!集落の外だと、こんなオレだってこうやって活躍できるんだってわかったのは良かったぞー!
あの時、エセムが旅に出ろって言った意味が、ここでようやくわかったぞー。オレは、この魔法の力でみんなの幸せを守ってみせるんだー!
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