リオ過去編-04 しっかり護衛するぞー!
「パイルさん、ごめんなー。こんな早くに出発するとは思ってなかったぞー」
「もう昼前なのだがね···。寝起きは悪い方なのかい?」
「いつもはこんな早くに起きないぞー。起きて果物取って、食って魔法の練習をして寝るって生活を15年ぐらいしてたからなー」
「ぐうたらではないか!?パイル様!コヤツはアテになりませんぞ!即刻追い出すべきです!!」
「隊長。言いたい事はわかるが、まずは力量を見てからでも遅くはないだろう。確かに寝坊助は良くないがな。15年もそんな生活をしていればそう簡単には治らんよ」
「しかし···」
「隊長。キミが私たちの事を第一に考えてくれるのは大変ありがたい。ただ、そればかりに気を取られているぞ?もっと周囲の状況を把握して本質を見極めることが重要だ。
リオと仲良くしろなんて子供じみた事は言わないが、実力を見極めてはどうかな?」
「···失礼しました」
「気にするな。そこが私は気に入ってるのだからな」
隊長には嫌われちゃったなー。言いたい事はわかるんだけどなー。確かに15年もそんな生活をしていきなり変えるのはできないぞー。
そのあたり、パイルさんはよくわかってるなー!助かるぞー!
(『甘ったれた事ぬかすなぁー!この時からだったのね!?アンタの寝坊助はーー!!』)
んー?なんだー?今のはー?聞いたことのない声がしたぞー?でも、なんだかこの先でよく聞く声のような気がしたぞー?
こうして馬車は動き出したぞー。
とりあえずオレは護衛の仕事をしなきゃならんので、空を飛んでこの先に魔獣などの障害がないか確認するぞー!
「パイルさん!オレは飛べるからこの先の街道に魔獣がいないか確認してくるぞー!」
「ああ、そうだな。お願いできるかな?」
「任されたぞー!」
オレは馬車から降りて飛び立ったんだー。
んーー、この先までは今のところ大丈夫そうだなー。
偵察を終えて戻ろうとした帰り道で、魔獣が街道に出現したんだー!
馬車はまだ見えてない位置だから問題ないなー。よーし!倒していくぞー!
オレは魔獣の上空からストーンキャノンを撃ったんだー!これが一番威力あるし、消費魔力量が少なくて済むんだぞー。
上空からの狙撃だから、魔獣から見れば死角だからなー。なんの防御もされずに倒せたぞー。やっぱり魔法は便利だなー!
他にいないかなー?街道からちょっと離れた部分も見てみるけど、今のところは大丈夫そうだなー。
そろそろ飛ぶのも疲れてきたし、戻るとするかー!
「パイルさん!街道にいた魔獣は倒しておいたぞー。街道周辺にも今のところは魔獣はいないから、しばらくは安心だぞー!」
「おおっ!さすがだな!助かったよ。ありがとう!」
「おう!護衛代いただけちゃうんだから、これぐらいはやらないとなー!」
「···フンッ!多少はできるようだな」
「おう!近距離戦は若干不安だけど、長距離戦なら魔法があるからなー。近距離戦は隊長さんに任せるぞー!」
「あまり勝手に動くなよ?」
「そん時は指示してくれー。可能な限り対応するぞー」
そして馬車は倒した魔獣のところを通過したぞー。みんなオレの魔法の威力を見てちょっと驚いていたなー!
まー、あんまり調子に乗ると後が怖そうだから、自慢はしないでおいたぞー。オレから言うのはちょっと違うからなー。
その後も順調に進んで、今日の宿泊予定地である宿場町に着いたんだぞー!
隊長さんが宿泊の手続きをして、馬車に戻ってきたら部屋が確保しきれなかったって言ってきたんだぞー。
「じゃー、オレが外で寝るぞー!」
「そういうわけにはいかん。護衛としての仕事として、私たちの部屋の近くで警戒するという業務もあるのでな」
「でも、部屋がないんだろー?『馬車を守る』って仕事があるなら、オレがやるぞー!竜モードなら外で寝るのもへっちゃらだしなー!」
「パイル様。コヤツからの申し出ですので、言うとおりにさせましょう。ドラゴンを襲うバカはいませんし」
「ううむ···。いたしかたなしか···。リオよ、すまんな」
「気にするなー!ゆっくりと休むんだぞー」
「その前に酒場で食事にしよう。一緒に食事ぐらいはいいだろう?
「おう!任せとけー!」
『食事付きで警備』って、隊長に悪く言われないようにするために敢えて言ったんだなー。パイルさんって結構気づかいする人なんだなー!いい人に出会えて良かったぞー!
酒場で食事をすることになり、席についたんだけど、ちょっと気になったので聞いてみたぞー。
「パイルさんって、こんな酒場で普通に食事するし、結構庶民派なんだなー。エセムから聞いた話だと、だいたい貴族ってのは庶民を見下すのが多いらしいからなー」
「まぁ、それは人によるな。だいたい苦労してない者がそういった行動に出ることが多いと思うがね」
「じゃー、パイルさんは結構苦労してるんだなー?」
「まぁ、貴族の中ではそうであろうな。···どうも領地の近くに魔獣がよく発生しやすい場所があるようでな。ほぼ毎日討伐に兵士を向かわせてて、当然傷ついたり、中には帰って来れない者も出てしまう···。
見下すような対応をしてしまえば、その時点で領地は滅亡だ。兵士の士気が下がってしまえば領地の維持などできぬのだよ」
「なるほどなー。それは大変だぞー」
「だからこそ、私は敢えて領主邸で業務を行わずに最前線である街門で仕事をして、兵士とともに食事をしているのだよ。そうすることで、少しでも兵士の気持ちや考えを知り、それを統治に生かしたいという思いがあるのでな」
「立派な考えだと思うぞー!」
「ははは!ありがとう。···そうそう、さっき『エセム』という名を口にしていたが、まさか知り合いなのか?」
「おう!オレに魔法を教えてくれた魔術師の旅人さんだぞー!もしかして、知ってるのかー?」
「知ってるも何も、逆にリオは知らなかったんだな?」
「知らなかったー?何をだー?」
「『エセム・マグレヴ』、別名『変幻自在』と言われる大陸一の魔術師だよ」
「へっ···!?大陸一の···、魔術師だってー!?」
···もしかして、オレってとんでもない人から魔法を教わったのかー!?
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