リオ過去編-02 集落を出るぞー!

 あれから1か月。オレはエセムから魔法についていろいろ聞き出していたんだー。

 

 なんの取り柄もないと思ってたところに、こんな力があったなんて思わなかったからなー。そりゃ夢中になったぞー!ただ···

 

 

「もう魔法の基礎については大丈夫そうですね~。私が教えれる事はもうなくなりましたよ」

 

「そうなのかー?まだまだ教わりたい事があるんだけどなー」

 

「確かに教えれる事はあるんですけどねぇ···。これ以上はダメなんですよ」

 

「どうしてだー?」

 

「創作魔法というのは個性が非常に強く出る魔法なんですよ。あんまり教えてしまうと、それはリオの魔法じゃなくなってしまいます。

 芸術って言ってもピンと来ないでしょうが、もしかすると私の創作魔法よりもリオの創作魔法の方がすごくなるかもしれませんしね」

 

「と言うことは、ここからはオレが魔法を考えたらいいのかー?」

 

「その通り。まぁ、他の人が魔法を使ってるのを見てマネするのも手ですけどね。

 リオはどんな創作魔法を作るんでしょうね~?もし次に会ったらぜひ最高の魔法を見せて下さいね~!」

 

「おう!いつ会えるかわからんけど、その時はすっごい魔法を見せてやるぞー!」

 

「ははは!楽しみが1つ増えましたなぁ~。それでは、そろそろ行くとしますかね」

 

「じゃあ、街道まで飛んで送るぞー。背中に乗ってくれー」

 

「ありがとう!これも素晴らしい体験だ。良ければリオも旅をしてみませんか?」


「まだまだ弱いからムリダナー。でも、それなりに魔法が使えるようになったら、それも楽しそうだなー!」


「ええ。旅は自由ですよ~!まぁ、それなりに資金は要りますけどね」


「そうだなー。稼ぐ手段も考えないとなー!」


「もうここでいいですよ~!道が見えてますからね~」

 

「おう!···じゃあ、お別れだなー。いろいろ世話になったぞー!ありがとなー!」


「こちらこそ、楽しかったですよ。また会える日を楽しみにしてますね~!それでは」


「おーい!なんで藪の中に入っていくんだー!?道はこっちだぞー!」


「おおっと!?うっかりしてましたよ。じゃあ、今度こそさようなら〜!」


「···ホントに大丈夫かー?」


 

 こうしてオレはエセムと別れたんだー。

 

 その後も引きこもってるように見せかけてずーーーっと、魔法を鍛えていたんだぞー。

 

 そんな生活が15年ぐらいかなー?続いたんだよなー。

 

 

 そして今から35年前、それなりに魔法が使えるようになったんで、オレは家で魔法が使えるようになったから狩りに連れてけー!と言ったんだぞー。そしたら···。

 

 

「えっ!?リオって今までそんな事をしてたの?」

 

「魔法ってあれでしょ?火が出たり石が出たり水が出たりでしょ?魔獣倒せるの?」

 

「そんなわけわからん力だと魔獣退治は任せられないぞー!リオ自身守れんだろー?」

 

 

 ティガ兄もジン兄も、ギア兄もバカにしたなー。魔法のスゴさがわかってないんだろうなー。

 

 

「あらあら!リオくんは魔法が使えるようになったの?でも連携して魔獣退治はできないんじゃないかしら?遠距離はいけても近距離はダメなんじゃない?遠距離でも当たらなかったら意味はないわね。当たるかわからないものに頼ってたらこっちは命が危ういわね!でも昔に魔法が得意な子がいたけども結局はやられちゃったのよ。だからリオくんはちょっと狩りに連れていけないわね。そろそろ母さんの素材剥ぎ手伝ってほしいんだけど?みんな狩る量が増えてきたから大変になってきたのよ!このままだと腐ってしまって売り物にできなくなってしまうわ!ねえ!?そろそろ手伝ってくれないかしらね?ああでも剥ぐのにも力がいるのよ!どうしたらリオくんにもできるかしらね!ああそれと!ペラペラ···」

 

 

 母ちゃんがいつも通り暴走してるけど無視だなー。

 

 

「リオ。確かに魔法は有用だが、他の連中との連携ができないぞ。1人だけ攻撃手段が違うというのはチームの和を乱しかねない」

 

「···そうかー。わかったぞー」

 

「ペラペラ···。あらわかってくれたわね!じゃあ一緒に素材剥」

 

「出ていくことにするぞー」

 

「「「えっ!?」」」

 

「兄貴たちは何を驚いてるんだー?狩りに出れない以上、ここにいても仕方ないだろー。だから、集落を出るぞー」

 

「···リオ。出て行って何をするのだ?」

 

「親父、オレは旅に出るぞー。いろいろ見て回って、オレを必要としているところで暮らすことにするぞー」

 

「アテはあるのか?」

 

「ないぞー。でも、それも旅の楽しみの1つだろー」

 

「わかった。好きにしなさい」

 

「ちょっと!?あなた!?それはど」

 

「リオが決めた事だ。もう成人してずいぶん経っている。狩り以外にやりたい事があるなら、やってみればいい」

 

「おう。ありがとなー、親父。それじゃあなー」

 

 

 こうしてオレは集落を出たんだなー。今考えたら、お金も身分証もなしによく出ていったもんだぞー。

 

 

 とりあえず集落を出ようと門まで行くと、門番に成りたてのアルバがいたんだー。

 

 

「ん?リオ、こんな時間に徒歩で出るのか?」

 

「おー、アルバ。オレは集落を出ることにしたんだぞー」

 

「どこへ行こうと言うのかね?何の準備もしてないように見えるが?」

 

「別にどうとでもなるだろー?それじゃあなー」

 

「気をつけてな」

 

「おう!」

 

 

 相変わらず無口なヤツだけど、ちょっとは気にしてくれたみたいだなー。まー、なんの準備もしてないのはちょっとはマズいと思うけどなー。

 

 そうしてオレは街道に出たんだー。ここからは人型で過ごさなきゃならんなー。人の社会に出るわけだしなー。

 

 そうして歩いてると、街に着いたんだなー。すると、門番からいろいろと聞かれてしまったぞー。

 

 

「おや?白銀竜ですよね?いつもの人じゃないですけど、身分証ってあります?」

 

「あー、オレは初めて集落を出たから、身分証を持ってないんだなー。どうしたらいいんだー?」

 

「え?もしかして知らないのかい?キミの身分を保証する後見人がいるんだけど···。同行してないから作れないよ?」

 

「···そうなのかー!?」

 

「もしかして、家出したって事かい?」

 

「あー、その通りなんだぞー。今から帰るわけにはいかないぞー。どうすっかなー?」

 

 

 しまったなー。エセムにお願いしとけばよかったなー。

 

 そんな時だったんだー。アイツらが現れたのはなー。

 

 

「どうかしたのか?困ってるようだが?」

 

 

 声をかけてきたのは立派な馬車に乗った貴族の家族だったぞー。

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