アキの異世界旅行記 すぴん・おふ!

ぷちきゅう

リオ過去編

リオ過去編-01 魔法ってなんだー?

「パパ!ちょっと聞きたいことがあるのよ」

 

「いきなりどうしたんだー、リナー?」

 

「パパが整調者ピースメーカーになるまでって何してたの?」

 

「普通に一人暮らしだぞー。それがどうしたー?」

 

「ちょっとパパの昔話を聞いてみたくなったのよ。ついでに整調者ピースメーカーの話もして欲しいな~!」

 

「あっ!姉ちゃん、それはぼくも聞きたいね!」

 

「あー、ホントにつまらん話だぞー?それでもいいのかー?」

 

「「いいよ~!」」

 

「あたしも聞きたいわね~!アンタが世界を救った話をね!普段の生活見てると、ホントに世界を救ったのか怪しいけど」

 

「失礼だなー!本当に苦労したんだぞー!!···はぁー、まぁいいかー。ちょっと長くなるぞー」

 

 

 

 リナがオレの過去の話を聞きたくなったみたいで、ケンもナナも聞きたいとのことだったから、話すことにしたんだぞー。 

 

 もう35年以上前になるかなー?集落を出て一人暮らしをするようになったのはなー。

 

 そこからさらに15年ぐらい前からは集落のそばで一人暮らしだなー。だから、ここから話すのは今から50年ぐらい前になるなー。

 

 力がないばかりに狩りには連れてもらえなかったから、成人したてのあの頃は集落の近くの森でボーっとしてたんだよなー。家にいたら母ちゃんとかがやかましいから、最近はここで寝泊まりするようにしたんだぞー。ここはオレの秘密基地っぽい場所なんだぞー。

 

 そんな時だったんだー。あの人と出会ったのはなー。

 

 

「おっと!?これは失礼。ここは白銀竜のナワバリだったか」

 

 

 オレの隠れ家にいきなり現れたのはボサボサの黒髪で小柄な若い男の人だったなー。

 

 

「んー?ヒトー?珍しいなー。道に迷ったのかー?」

 

「ははは。恥ずかしながら···。街道はこっちじゃなかったです?」

 

「あのなー···。こんな道のない場所が街道なわけないだろー?」

 

「やっぱりそうだったかぁ~。どっちが街道です?」

 

「あー、言ってもわからんだろうから、オレが案内するぞー」

 

「それはありがたい!ただ、お礼をできるものを持ち合わせてなくて···」

 

「別にいいぞー。オレも暇だったしなー」

 

 

 こんな森の奥深くに迷い込むなんて、相当方向オンチなんだろうなー。このままだと魔獣にやられるだろうから街道まで案内してると···!こんな時に限って魔獣が現れたんだ!

 

 はぐれか!?これはマズいぞ!

 

 

「おい!オレの背中に乗れ!飛んで逃げるぞ!」

 

「それには及びませんよ。こう見えて実は私って魔術師なんですよ。ちょっと下がっててくださいね~」

 

 

 魔術師?魔法を使うのか!?見たことがこれまでなかったんだ!

 

 ···初めて見た魔法は、とてもきれいだったんだなー。魔獣の口元を凍らせ、風魔法で翼を切り裂き、先端が尖った石の弾で魔獣を何発も撃ち込んだんだぞー!

 

 

「初めて見たぞー···。魔法って、すごいんだなー」

 

「ふぅ~。なんとか倒せましたね。いかがです?魔法もすごいでしょ?」

 

「おう!実はオレ、力がなくて狩りには連れてってもらえないんだぞー。魔法が使えたら、狩りに行けるかなー!?」

 

「行けるかはわからないですが、教える事は···、う〜ん···、本当はダメなんですけど、特別ですよ?食事と寝床さえいただければ」

 

「集落は入ると面倒だから、オレの秘密基地ってのはどうだー?」

 

「先ほどのところです?いいですよ~」

 

「やったぞー!オレはリオって言うんだぞー!あんたはー?」

 

「私はエセムと言います。宛もなく放浪しているナガレの魔術師ですね」

 

「よろしくなー!」

 

 

 こうしてオレはエセムから魔法を学ぶ事にしたんだぞー。

 

 

「まずはリオに魔力があるか?を調べてみましょうか?」

 

「おう!」

 

「じゃあ、両手を出して···、ってちょっと大き過ぎますなぁ〜」

 

「そうだなー。じゃあ、人型になればいいなー!···これでどうだー?」

 

 

 オレは人型になると、短い銀髪で頭に小さなツノが生えてる、背がそこそこ高くてかっこいい青年の姿になるんだぞー!

 

 

「お〜!ドラゴン族の人型って初めてですよ~!これは貴重だなぁ~!」

 

「そんなのはいいからー!早く調べてくれー!」

 

「あっ!そうでしたね~。では、ちょっとずつ魔力を出してリオの体に入れてみますよ~」

 

 

 そう言ってエセムは魔力をオレの中に入れてきたんだー。

 

 

「おおっ!?これは!?とんでもない魔力量ですな!」

 

「そんなにすごいのかー?」

 

「少なく見て私の20倍以上はありますよ!?さすがドラゴン族だなぁ〜」

 

「でも、誰も使ってないぞー?」

 

「固有魔法の飛行とブレスしか使ってないんでしょうね。魔法はイメージが物を言います。魔力はそれを実現するエネルギーですね。ただ、これほど強力だと魔獣が発生する原因となる黒魔力が発生するかもですね」

 

「黒魔力ってのが発生しないようにはできないのかー?」

 

「手段がないですね。自然に消滅を待つしかないですよ。まぁ、注意事項はこれぐらいで、リオの魔力を感じてもらいましょう!」

 

「どうするんだー?」

 

「そのままでいいですよ~。私の魔力をリオに流して循環させます。··何か感じます?」

 

「なんかくすぐったいのが回ってるなー」

 

「それが私の魔力ですよ~。リオの魔力も回ってるので、少しずつ私の魔力を減らしていきます。リオの魔力を感じたら、なんでもいいので回してみましょう」

 

 

 確かに回ってる魔力が減るんだけど、くすぐったくないのが回ってるぞー。これがオレの魔力かー!動かせばいいんだなー!よーし···。これでどうだー!!

 

 

「おおっ!?もう自分の魔力を感じて回せてる!?さすがドラゴン族ですね~!もう手を離したので、そのまま回し続けましょう!可能なら止めるのも感覚的ですがやってみましょう!これが魔力操作ですよ~!」

 

 

 エセムがごちゃごちゃ難しい事言ってるなー。でも、これは感覚でやるもんだなー。回し方はわかったぞー。止めるのは···、ちょっと慣れてないからゆっくりだけど止まり始めてるぞー。

 

 完全に止めると動かすのが大変そうだから回しっぱなしにしとくぞー。

 

 

「そのままの状態で聞いといて下さいね~。今、回してる魔力を手に集めれますか?集めれば魔法を放つ準備が整いますよ。そして、発動する魔法をイメージしてみましょう!」

 

 

 そうエセムに言われてイメージしてみるぞー。でも、魔法なんてさっきのヤツしか見たことないんだよなー。あれでいいかー!石の弾を撃ってみるぞー!先っぽは尖ってたなー。こんなイメージでいいかなー?

 

 

「おっ!?すごい!もう石弾が発動しましたよ!では、目標に向けて···、撃て!!」

 

 

 エセムの合図でオレは撃った!そこそこの太さの木の幹をふっとばして木が折れたぞー!?

 

 これをオレがやったのかー!?魔法ってすげーなー!!力がなくても、これがあれば狩りに行けるかもだぞー!!

 

 

「素晴らしい!こんな短時間で創作魔法ができるとは!リオはとんでもない魔法の才能があるようですよ〜!もしかして、世界でトップクラスの使い手になるかもですね~」

 

「おー?そんなにかー!?よーし!これからオレは魔法一筋でやってやるぞー!」

 

 

 ははは!そうだったなー。あの時エセムに出会ってなかったら、オレは今も引きこもってただろうなー。

 

 エセムと出会って、オレの竜生は大きく変わったなー。まさかこの後に整調者ピースメーカーになって世界を救い、そしてアキと出会って、ナナたちに出会って···。家族ができるなんてなー!

 

 あれ以降、会うことはなかったけど、もう会えないかもなー。もう50年も昔だからなー。

 

 でも、もし会えたら思いっきりお礼を言うぞー!

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