第21章 春の訪れと新たな芽吹き
厳しい冬が過ぎ去り、ふわもこ村に春の息吹が感じられるようになってきた。木々の枝先に小さな芽が膨らみ、雪解け水のせせらぎが村中に響いている。
ミアは、茶屋の窓辺に立ち、新しい季節の到来を感じていた。
「ねえ、モフモフ。春がやってきたわね」
モフモフは、窓台で陽だまりを楽しみながら答えた。
「うん、新しい始まりの季節だね」
ミアは、ふと思いついたように目を輝かせた。
「そうだわ。この春、村の子どもたちと一緒に何か新しいことを始めてみない?」
その日の午後、ミアは村の広場に子どもたちを集めた。好奇心に満ちた瞳が、ミアを見上げている。
「みんな、今日から『春の魔法学校』を始めましょう」
子どもたちから歓声が上がった。
「どんな魔法を教えてくれるの?」
「僕も魔法使いになれるの?」
ミアは優しく微笑んで答えた。
「みんなの中に眠っている小さな魔法の力を、一緒に見つけていきましょう」
最初の授業は、種まきから始まった。ミアは、子どもたち一人一人に小さな鉢と種を配った。
「この種には、みんなの夢が宿っています。毎日愛情を込めて世話をすると、きっと素敵な花が咲くわ」
子どもたちは真剣な表情で、慎重に種を植えていく。ミアは、それぞれの鉢に小さな魔法をかけた。
「さあ、みんなで魔法の言葉を唱えましょう。『芽吹け、小さな夢よ』」
子どもたちが声を合わせて唱えると、鉢の中で種が小さく光った。
日々の水やりと世話を続けるうちに、子どもたちの鉢から次々と芽が出始めた。それぞれの芽は、植えた子どもの個性を反映するかのように、様々な色や形をしていた。
「わあ、僕の芽、青いよ!」
「私のは、ハート型の葉っぱがついてる!」
子どもたちの目が輝いていく。ミアは、その成長を見守りながら、様々な魔法のレッスンを行った。
花言葉の魔法、植物と会話する方法、そして自然の力を借りる技。どれも難しい魔法ではなく、子どもたちの中にある感性を呼び覚ます、優しいレッスンだった。
春が深まるにつれ、子どもたちの鉢からは美しい花が咲き始めた。それぞれが、planted した子どもの夢や希望を表すかのような、独特の輝きを放っている。
「ミアお姉ちゃん、この花、本当に私の夢なの?」
ある少女が尋ねた。ミアは優しく頷いた。
「そうよ。あなたの心に咲いた夢が、この花になったの」
魔法学校の最終日、子どもたちは育てた花を持ち寄り、村の広場に「夢の花園」を作った。色とりどりの花々が、村全体を明るく彩る。
村人たちが集まってきて、感嘆の声を上げた。
「なんて美しい花園なんだ」
「村が、希望で溢れているみたいね」
ミアは、満足げに微笑んだ。
「これは、子どもたちの夢が形になったものよ。これからも、みんなで大切に育てていきましょう」
その夜、ミアは茶屋の窓から、輝く花園を眺めていた。
「ねえ、モフモフ。私たちの村に、新しい魔法が芽生えたみたいね」
モフモフは、静かに頷いた。
「うん、子どもたちの夢と、ミアの魔法が混ざり合って、素敵な未来を咲かせ始めたんだ」
春風が、花々の香りを運んでくる。ミアは深呼吸をして、この新しい季節の始まりを全身で感じた。ふわもこ村の明日は、きっと今日よりもっと輝いているはず。そんな確信が、ミアの心に芽生えていた。
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