17.
「⋯⋯はぁ⋯⋯そんなことが⋯⋯ジルヴァ君、大変だったんだね」
同情しているらしく、眉を下げた詩織がタコさんウインナーで遊び始めているジルヴァの頭を撫でた。
「けど、久須君に出会えて良かったね。優しいし」
「はいっ! おやさしーかたです!」
詩織がにこっと笑いかけると、ジルヴァも嬉しそうに笑っていた。
ここ最近言われていることで、こうも何度も言われるとむず痒さを覚える。
誤魔化すように玉子焼きを口に運んだ。
美味しい。
コンビニ弁当だとどうしても味が濃い。それよりも控えめで、かつほどよい甘さがちょうどいい。
あまりにも美味しくて、米と交互に食べていた。
「本当、あの時会えて良かった。中学卒業してからどうしたんだろうって思ってたの。その後の話、誰に聞いても分からなかったから」
顔を上げると、微笑んでいる詩織がいた。
「⋯⋯どうして、俺なんかに気にかけている」
思わず、ふいっと顔を逸らしてぼそっと言う。
ジルヴァならまだしも何故自分のような面白くもない、笑った顔すらまともにできない人間に気にかけることなんてあるのか。
詩織は「え、っと⋯⋯」と考えているようだった。
ほら、やっぱり。すぐに答えられないということは、別に祥也のことには大して興味がないのだ。
匡が言う恋なんてありえない。
興味が失せた祥也は、黙々と食べようとした。その時。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます