14.

「で、何しに戻ってきた。もう乗ってきたのか」

「ジルヴァ君がね、久須君も一緒に乗りたいなって言っていたから」

「しょーやさまも、ぐあいがよかったら、いっしょにのってください!」


無邪気にそう言っては、その小さな手を思いきり差し出した。

そんなことでわざわざ戻ってきたのか。

詩織の提案に気を取られ、乗り物に夢中かと思っていたが。


「俺なんかでいいのか」

「こーひーかっぷも、ごーかーとも、あとあと⋯⋯いっぱい、しょーやさまとのりたいです!」

「ことある事に久須君の話をしていたんだよ。一緒に乗ったら楽しいだろうなって。だから、久須君、良ければ一緒に乗って欲しいんだけど、あ、でも、具合が悪ければ、無理にとは言わないけど⋯⋯」

「いや、具合の方は大丈夫だ。⋯⋯ジルヴァ、一緒に乗るか」


立ち上がりながら、その手を握った。

その瞬間、花が開くように顔を綻ばせた。


「やったぁー! しょーやさま! いきましょー!」

「あ、おい、急に走り出すなっ」


やや強い口調で注意するが、嬉しくて嬉しくて仕方ないジルヴァの耳には届かなかった。

そんな走り出していたら、フードが捲れてしまうとそういうところも心配で内心ひやひやする祥也の後ろを、楽しそうに微笑む詩織がいた。



それから、ジルヴァに引っ張られるがまま、色んなものに乗った。

トロッコやウォータースライダー、ゴーカートに迷路、お化け屋敷にも行った。

中には迷路を始め、お化け屋敷もそうだが、身体を動かすものもあり、それはそれは疲れた。

だが、その疲れは嫌な疲れ方ではなく、行って良かったと思えるものだった。

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