繋がって行く二人の物語

第7話 重税と重責

樅川陣屋にて会議が始まった。


杉志皇太子「椰子殿。北根島を拝見させていただきました。正直、こんなにひどいとは思っていませんでした。これでは100年ほど前の生活と変わらないではないか。」


椰子 浩人「ええ。藩民の方たちには大変申し訳なく思っております。我々も藩の収入を上げる為に努力はしているのですが、そのなかなか難しくて...」


杉志皇太子「んーそれではよくないですね。行政を行っているからには満足させなければ統治する資格はないですよ?」


椰子 浩人「審査は合格しましたし、資格はあるはずだと思いますが?」


杉志皇太子「審査に合格したら何をしても良いという事ではない。椰子殿は島民に対して酷く扱いすぎだ!」


椰子 浩人「ええ。分かっております。父が樅川藩を設立した時はまだ経営状態が良かったが、しかし、針住藩の上層部の人達は針住藩から樅川藩に変わる時、樅川藩に譲る資金を私物化して我が藩に譲らなかった。父の頃はなんとか経営できたが、次第に悪化してきた。今年の異常気象により限界が来てしまった。どうしても針住藩の元上層部の人達を許す事が出来なかった私はある決断をしたのです。」


杉志皇太子「ある決断?」


椰子 浩人「はい。元針住藩上層部の残党たちから直接資産を取り上げる事にしました。資産を全て取り上げて平民としての生活を要請した。要請を拒否した場合は一族みな極刑にした。」


杉志皇太子「なんて、ことを...」


椰子 浩人「取り上げた資産家は元鉱山奉行の鈴佐家。元運輸奉行の海赤家。元山業奉行の檜禰󠄀ひのね家。いずれも針住藩から樅川藩に、引き継いだ役人達だ。檜禰󠄀家と鈴佐家は生き残る事を選んだが、海赤家は機械を使えない仕事は絶対に出来ないとの事で我々は死刑にした。」


杉志皇太子「もう1家北根老中の古祖家がいたと思われますが?古祖家はお咎めなしだったのか?」


椰子 浩人「古祖家ですか?あの家を訪れたが、1億ウッド相当あるはずの資金が全く無かった。それに2人いるはずの子供もいなかった。古祖夫婦に問いただしても、ないの一点張りで子供達も遊びに行って以降行方不明だと言っていた。どう考えても虚偽報告なので、我々は古祖夫妻をその場で処刑した。そして私は古祖家の息子である良成とその妹の来津枝を追っています。」


杉志皇太子「それはやりすぎですよ。お子さん達に罪はないと思います。」


椰子 浩人「皆そう言いますよね。子供に罪はないって。ですが、考えてください。確かに我々の努力不足で島民達に迷惑をかけているのは認めます。しかし、一部の富豪が元茎と同じように贅沢をしてからしてるのが許せないのです。そして富豪達は一般市民を見下して嘲笑う。一般市民を見下すのは大人だけではない。子供も親と同じく見下している。一度贅沢な生活を覚えると、いつまでも忘れない。今までの暮らしが出来なくなると貧しい生活をするようになった原因となる我々を恨むようになる。一度恨まれると我々を徹底的に追い詰められ身の危険を今度は我々が感じるのです。」



杉志皇太子「椰子殿もう良いです。あなた方が行った政治犯罪について確認できたので会議は終わりです。椰子殿の発言は元茎の方に報告いたします。次伺う時は処分を発表する時だと思ってください。」


椰子 浩人「ええ、覚悟しておきます。しかし、杉志皇太子殿下は私達意見を聞こうとしなかったこれは会議ではなく監査なのではないでしょうか?」


杉志皇太子「今日は椰子殿の発言があまりにも酷かった為、監査のような形となった事をご理解していただけると幸いです。」


椰子 浩人「なるほど理解いたしました。それでは帰りの道中お気をつけて」


そして樅川陣屋の会議が終わった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る