第2話 家族との別れ

  今日、8月20日は古祖 良成(僕)の誕生日。毎年この日にスイカを収穫してお祝いして家族皆で食べる予定だった。しかし、今年は気温が上がらず、夏でも雨で寒い日が続いている。今日収穫し家族皆で食べるはずだったスイカも生育不良で収穫出来なかった。今その他の作物も収穫量は減少して。農業で生計を立てる我が家にとっては死活問題であった。両親(母:タマ 父:善郎)は家を守るためにある決断をしたらしい、僕と4歳年下の妹、来津枝こずえとともに4人で話を聞くことにした。

善郎:「お前たちを読んだのは、ほかでもない。こうして家族4人で集まれるのは今日が最後になるかもしれないからだ。」

来津枝:「え?それって私たち、離れ離れになっちゃうって事?」

善郎:「残念ながらそういう事だ」

良成:「はぁ?急におかしいだろ!この家から出て行けってことかよ?」

タマ:「ちがうのよ、この家にいても貴方たちの為にならないって...思っただけであって。」

良成:「はあ?そんな理由で納得する訳ないだろ。なあ?本当のことを教えろよ。」

善郎:「全てを話すことはできない。しかし、これだけはお前たちに言える。買える物が無く、いずれ捨てるお金を貯めて意味があると思うか?父さんと母さんは意味がないと思ったからお前たちをここから出すことにした。それだけだ。」

良成:「余計に意味分からないし、なんで今日話すんだよ教えてくれよ。」

善郎:「くどいぞ!良成いいからいうことを聞け!もう俺たちの家族は限界なんだ。」

来津枝:「私たち、どうなちゃうの?」

善郎:「来津枝...お前は元茎島の学校に行ってもらう。」

来津枝:「学校ってなに?」

善郎:「学校はなぁ、来津枝と同じ年のお友達と、お勉強する場所だよ」

来津枝:「お勉強するところなの?」

善郎:「そうだよ。お勉強以外にもいろんな事ができてとっても楽しい所だよ。」

来津枝:「えー楽しそう。お兄ちゃんもその学校にいくの?」

善郎:「残念だけどお兄ちゃんは学校には行かないんよ。」

良成:「父さん僕はどこに行くの?」

善郎:「お前には北根寺で出家てもらう。」

良成:「....何を言うかと思えば出家かよ。」

善郎:「お前にはそうしてもらうしかないんだよ 分かってくれ良成」

良成:「....わかったよ」

善郎:「そしたら、母さん来津枝を港まで頼むよ。俺は良成を北根寺まで送るから」

タマ:「わかったよ...明日の日の出前までに戻ればいいでしょ」

善郎:「あぁ、そうだな。みんな、今までありがとうでは解散。」

そうして母と妹は遠根港に僕と父は磴根郡頃委村ころいむらにある北根寺に向かった。北根寺までの道のりは遠くあるいて10時間ほどかかった。あたりもすっかり暗くなった頃に、北根寺の門に辿りついた。

善郎:「良成、ここまでよく歩いた。お前ならここでもやっていけるよ。」

良成:「父さん。もしかして泣いてるの?」

善郎:「ああ、これが息子との最後の時間だと思うと....つい。」

そして父は風呂敷から大きな箱を取り出していった。

善郎:「この中には、父さんと母さんが貯めたお金だ。その半分をお前に受け取ってほしい。受け取ってくれるか。」

良成:「う、うん受け取るけど父さんこれからどこかに行くの?」

善郎:「寂しくなるけど。俺は家に帰らなくてはならない。」

良成:「お父さん。また、どこかで会えるよね?落ち着いたら手紙を送るよ。」

善郎:「ああ、きっと会える...手紙待ってるよ。良成元気でな。」

こうして僕は父さんと別れた。

門が明けるのを立ちながらずっと待っていた。そして、夜が明けてついに門の扉が開いた。

続く

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