戦闘の終わり

 レーザーを放つ為に光を溜めているドラゴンゾンビに1発不意打ちが命中する

 その弾は命中して色の付いた煙を出している


「信号弾!?」


 クレマが放った信号弾、魔力銃では止めれないと考えての一手だろう

 ドラゴンゾンビの口に信号弾が命中した事で口を閉じる

 口を閉じた事で口の中で溜まっていた光が暴発、ドラゴンゾンビの口が焼ける


 ……狙ってたって事か。ナイス……しかし


 空中でよろめくが落ちては来ない

 必死に翼を動かして落ちないようにしている

 落ちれば私の攻撃が来るからだろう


「落とせないかぁ。でもこれでレーザーは封じた」


 隙が大きいレーザー攻撃はリスクが大きい

 口にダメージが入った事で炎の玉とレーザー攻撃が出来なくなっていれば1番

 口の中の為、負傷がどの程度か正確には分からない

 様子を見て降りてきた時の為に構える

 するとドラゴンゾンビは翼を動かして降りてくる


 ……レーザーと炎の玉は使えなくなったって事かな、よしこれなら


 騎獣を走らせて突っ込む

 着地の瞬間に大剣を振るい足に攻撃を仕掛けてすぐに方向転換をしてもう一度切り裂いてそのまま距離を取る

 ドラゴンゾンビは大きく叫ぶ

 騎獣の周囲の地面から複数の骨が生える

 鋭く尖った先端が私に襲いかかる


「身体からだけじゃないんだ」


 前方の骨を切り裂いて包囲から抜け出す


 ……空中で使えない、地面に接触してないと無理とか?


 地面から次々と現れる骨が襲いかかる

 大剣で捌き接近して足に大剣を叩き込む

 鱗を破壊する

 距離を取って骨を捌きながら接近する

 ドラゴンゾンビは前足を振り上げて地面に叩きつけてくる


 ……揺れが強い


 騎獣を操って回避して肉を切り裂く

 骨と前足による攻撃を回避しながら攻撃を繰り返す

 ドラゴンゾンビは頭を大きく振り上げる


「頭?」


 そのまま首を振るって顔面を地面に叩き付ける


 ……頭突き!?


 頭突きと振り下ろし、骨の攻撃を織り交ぜて攻撃を仕掛けてくる

 私を逃さないように目で捉え続けている

 魔力弾が鱗が剥がれたところに命中する

 時間を掛けて焦らずに鱗を削って肉を切り裂いていく

 ドラゴンゾンビは突然動きを止める

 警戒して距離を取る


「攻撃の構えかなぁ。攻撃チャンス……いやどうだろうなぁ」


 急に動きを止めたのが怪し過ぎる

 周囲の地面とドラゴンゾンビを警戒して様子を伺う

 ドラゴンゾンビは一度こちらを見る

 静かにこちらを見た後、翼を広げ上空へ飛んでいく


「飛んだ? 攻撃手段がないんじゃ……」


 そして山に向かって飛んでいく


 ……逃げた? 追うか……いや先にやる事がある


 逃げるのなら好都合

 ドラゴンゾンビを追ったところで倒し切れるかは分からない

 その上、別でやる事がある

 倒し切れずに国側に向かった魔物を追い掛けないとならない

 瘴気はドラゴンゾンビが去った事で山に戻っていく

 クレマと合流する


「無事ですか?」

「私は無事」

「その髪色は」

「うん? あぁこれは特異体質の影響、それより倒し切れなかった魔物は?」

「数体逃しました」

「ならすぐに追おう」

「荷台は置いていきましょう。後で回収します」

「そうだね」


 私は後ろに移動してクレマが前に乗る

 クレマが手綱をしっかりと掴む


「腰に手を」


 ……解除


 大剣を腕輪型に変える

 密着してクレマの腰に手を回して振り払われないようにする

 クレマが魔力を通し素早く駆け抜ける


「城壁側に着く前に間に合えばいいけど」

「正直1体目が抜けてから時間が経っていますから微妙ですね」

「防衛部隊の展開は出来てれば良いけど」

「門番を含む少数なら準備は完了していると思いますが大隊は難しいかと」

「確かに大隊を動かすには時間がかかるか」


 暫く騎獣が走っていると前方に魔物を見つける

 国側に向かっていっている

 近付いたら飛び降りて大剣を起動して真っ二つに切り裂く

 こちらに気付いていないようで一撃で仕留められる

 すぐに飛び乗る


「もう2体はすぐ追いつきます」

「了解」


 2体の後ろ姿は既に見えている

 追いついて切り裂いて倒す

 それからすぐにもう2体も倒して最後の1体を追い掛ける


「見えませんね」

「もっと速度は出せない?」

「これが限界です」


 ……まぁ魔物より早いから充分かぁ


 暫く走って森の入口が見える

 魔物の姿はまだ見えない


「もう森抜けてたかぁ」


 姿が確認出来ないという事はもう既に森を抜けている事を意味している

 森を抜けたら城壁は近い


「そうなるともう着いてる可能性ありますね」

「被害出てなければ良いけど」


 森を抜けると魔物の後ろ姿が見えてくる

 兵士達が銃を構えて魔物目掛けて発砲している

 クレマは騎獣を操って兵士達の射線から外れる、威力は低くとも人に当たれば致命傷になりうる


「戦闘中ですね。どうします?」

「突っ込む、私が斬る」


 射線から外れた位置で追い掛ける

 兵士達は騎獣に乗るクレマを確認したのか声を掛けてくる


「そこのメイド! ここは危険だ! 離れなさい!」


 兵士は巻き込まないように避難するよう促すがクレマは発砲辞めるように返す


「発砲を止めてください! 勇者様が戦います!」

「勇者様が!? 総員発砲中止!」


 兵士はすぐに他の兵士に伝達する

 発砲を辞めた事で近寄れる

 騎獣から飛び降りて大剣を構えて突っ込む

 魔物はこちらに気付いていない

 地を蹴り接近して直ぐに飛び上がって首に大剣を振るう

 そのまま首を切り落として倒す

 しっかりと両足で着地する


 ……これで終わりかな?


 周りを見渡すが魔物の姿は確認出来ない

 クレマが近寄ってくる


「これで最後の筈です。最もまだ油断は出来ませんが」

「最低でも1日は城壁前で構えるかな」


 兵士の数を見る、城門前で待機している数人以外に数人の兵士が合流しているだけであった

 数が少ない

 兵士の1人、クレマに避難を呼びかけた人の元へ行く


「勇者様、助かりました! 一体何があったのですか?」


 山の麓で起きた出来事を説明する

 その話を聞いた兵士はかなり驚いているが納得する


「我々が警戒しますので勇者様はお休み下さい」


 魔物の大群+ドラゴンゾンビとの戦闘で疲れを感じる

 まだ余裕はあるが万全にして待機した方が良いだろう


「分かった。お言葉に甘えて休ませてもらうよ」

「お疲れ様でした」


 兵士に言われた通り休む事にする

 兵士達は警戒に戻る

 城門の近くにある門番の休憩所で休む

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