054 ~自然と人間~

どこかで読んだ話だ。


自室の窓を通して外を眺めていると、

風に揺れている木々がまるで自らの力で動いているように見える時がある。


まさかと思って試してみたのが高校生か大学生の時だった。


まるでそのように思えなかったのは、僕の心が汚かったのかなと思う。


しかし連日の大雨によって、

自宅の斜向かいに立つお寺の、その庭に生えている竹が雨の重みでその身を曲げ、

我が家との庭境に設置されたフェンスに懸け橋となっているさまをみて、


「重いんだろうな。」


と言葉が出た。


竹を擬人化した自分に、あぁ と思う。


いつの間にか、

植物に想いをはせ、

そして愛でるようになった。


自然を「見る」のは人間だけなんだろうか。


疑問に思いつつ、独占しているようで少し嬉しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る