052 ~塾人/主夫の狭間で その2~

子どもたちが面白い。


妻の子は4人いて、一人はもう独立している。

だから残りの3人が家にいるわけだが、彼ら/彼女が面白い。


何が面白いって、ゴミの出し方だ。


◆ペットボトルについて

次女:ラベルをはがして台所のどこかに置いていく。

長男:ラベルははがさず、中身を洗浄して逆さに置いておく。

次男:ラベルははがさず、中身もあらわないが、シンクの中に入れてはおいてくれる。


◆プリンのカップについて

次女:カップをシンクに置き、水をはる

長男:カップをシンクにぶちまけておく

次男:カップをきれいに洗い、網において水を切っておいてくれるが、

   蓋が台所のどこかに置かれたままになっている


2つしか例を挙げてはいないが、

本来なら一人でできるはずのことを、3人で綺麗に割っているあたり、

兄弟/姉妹なんだなぁ、と面白く思ってしまう。


そこですかさず、僕は小言を発動する。


もう子どもじゃないんだから、自分で使ったものぐらい自分で洗えばいい。

洗い方だって知っているはずだ。

どうしてゴミ箱があるのにそこに入れられないのか。


これも保護者の仕事と言われるかもしれないけれど、

「甘やかさないこと」も親の務めだと思っている。

正解を知っている。


学校や課題に追われているような生活にも見えない。

部屋に戻ってからはしたいことをしたいだけしている。


時間がないわけではないんだろう。

理由は一つ。面倒くさいから。


しかし、これを強要できない。


静かに家事をこなすのが保護者としての、大人としての美徳なのか……。


塾の生徒さんには、「食器ぐらい自分で洗うんだよ」と言っている。

人の子には言えて、自分の家の子には言えない。


これもまた、塾人と主夫の狭間における一場面だ。

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