038 ~世界一のありがとう~
妻が旅行から帰ってきた。
訪れた場所や食べたものなど、土産話はいくらでもあると思う。
その中で一番に話してくれたのは、とある少女との出会いについてだった。
なぜ、と思う。
でも聞けば、確かにこれが一番の思い出だろうな、と合点がいった。
妻は仲間と一緒に動物園に行き、とある小動物のショーを見たらしい。
全国的にも珍しいショーで、妻も仲間も大変感動したとのことだった。
その会場席の真横に、例の少女は座っていた。
背格好からしてまだ小学3,4年生とのことだった。
その少女はショーの終了後、大きな拍手を送っていた。
その気持ちは意識的か無意識的にか、言葉に変換されたようだった。
「お父さん、すごく楽しかった! 夏休み取ってくれてありがとう!」
妻も仲間も、ショーそっちのけで、その少女の言葉に感動したらしい。
「お嬢ちゃん、偉いね。」
とは妻の仲間言葉だ。
その言葉を間接的に耳にしたらしい父親も、
どこか得意げと言った様子だったらしい。
小学生でそんなことが言えるなんて……。
話を聞いているだけの自分がどこか恥ずかしくなった。
きっと日頃から、家族の中で ありがとう が溢れる生活を送っているんだろうと思う。
だからこそ、ここぞという時に最大限のありがとうが言える。
これは、世界一のありがとうだ。
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