第25話 島くらし《拠点住人コミュ》
~水竜伝説から0日経過~
「ふあああ……すっごい……」
「ほえええ……嘘、こんな所が……」
はい、もう連れて帰りました。
さすがにあの状況の遭難者をそのまま放っておくと間違いなく死ぬだろうし、何よりイルカ達のきゅるんきゅるんの瞳が助ける以外の選択肢を消していたしな。
さて、私が拾った2人の要救助者達だが……
「あ、あ、わわわ、ど、どうしよう、メールちゃん……こ、ここ、竜の、巣……なのでは?」
「た、た、食べられちゃうんでしょうか……やっぱり」
「イ、イルカさん達は……ダメだ! 助けてくれそうにない! 皆、なんかぷかぷか浮かんで寝てる!!」
「わあ、可愛いですね……」
「ほんとだ……可愛い、じゃなくて!!!! メールちゃん! 今、私達は食事になるかならないかの瀬戸際だよっ! 確かにかわいいけど、それは、今じゃない!!」
「あ、そうだった……どうしましょう」
微妙に余裕がありそうな2人だな。
とりあえず、この引っ張った板切れを浜に運んで、と。
「あ……陸、だ……うう!! 数週間ぶりの、大地の感触!!」
「ほわ~ありがとうございます、竜様~降ろしてくれたんですか~?」
「あ、ほんと、だ」
要救助者は2人。
特徴的な2人だ。
金髪の美少女と銀髪の美少女。
金髪は、ルートと似た服装だ。
煤汚れが目立つが、元の生地や作りは良さそう。
被っているベレー帽、あれは水都とやらの港にいた魔術師の服装で見かけた。
それにずっと大事に抱えている彼女の身長よりも大きな杖。
先端に赤い宝石が括り付けられている……
魔術師っぽいな……。
銀髪の方はなんとエルフだ。
簡素な布の服に、褐色の肌。
垂れ目気味な瞳の虹彩は海の色によく似ている。
豊満な女性的な肉付きと、尖った耳。
……エルフの村で見た女性エルフと特徴が似ているな。
「ひっ。竜がこっちを黙ってみてる……」
「やっぱり~食べられちゃうのでしょうかあ~」
このままでは拉致が開かないので、海に潜って、人間モードへ。
彼女達とコミュニケーションを図る。
はあ……なんか最近こういうのばっかだな。
「はいどうも、まず最初に、水竜は人を食わない、故に諸君が竜に喰われる心配はない、安心しろ」
浜へ上がり、髪を結びつつ、彼女達に声をかける。
「「へ……」」
固まる2人。
「海から……人が……」
「うそ~、まあ~キレイな方ですね~」
「どうも、諸君のかわいらしさには負けるよ。さて……どこから話せばいいものか」
互いに抱き合ってこちらを見上げる異世界の少女達。
だが、よく見れば、頬はこけ、肌は荒れている。
長時間強い日差しにさらされたのと、海水に濡れた事、そして何より栄養不足と脱水症状が見て取れた。
「……いや、話より先にまずは介抱からだな」
「え……?」
「ほえ?」
まずは、何より水からか。
「クリエイト・ウォーター」
「「!!??」」
2人の目の前に真水の塊を生成する。
美少女達が目を丸くして、しかし、確かに小さな喉をこくんと上下させた。
「……ようこそ、私、いや、水竜の巣へ。まあ、まずは、水でもどうぞ」
少女達が目を真ん丸にくわっと開いて――。
「「い、頂きます!!」」
ばしゃん!!
同時に水の球体に頭を突っ込んだ。
……頭から行くのか。
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