第4話 LEVEL UP!《戦闘回》
「キュイ!! キュイキュイ!」
赤色のイルカが尻尾をつついてくる。
焦っている?
一体……OH……。
鮫だ。
尖った歯に、お馴染みの流線形のフォルム。
やけにでかい。
うお。口から覗く歯、すごいな……。
……待て、あの鮫、なんかおかしいぞ。
なんか、その骨の鎧みたいなの纏ってないか?
え? 鮫じゃないのか?
「……SHARK」
いや、シャークと鳴いた。
ほな、鮫か……。
おい嘘だろ、サメが鳴くのか?
「SHARK」
……うん、こっちに向かってきているな。
早い速いはやい。
やばい、逃げよう。私よりもでかい鮫、海の中で鮫に敵う訳……。
「キュイ!」
えっ、ピンクイルカ! どうしたお前!
ピンクイルカがあろうことか鮫に向かって突撃した!?
「キュイ!」
「SHARK!!!!」
案の定、骨鮫に追い回されている!
何をしているんだ! ピンクイルカよ!
「きゅい。きゅい!」
「キュイキュイ!!」
「キューイ!!」
「きゅいきゅいきゅい、ウミノシンジン、マモラナキャダロ。ジョウシキテキニカンガエテ」
「キュイ!!」
うお!
イルカの群れが私を囲うように泳ぎ始めた。
……まさか、彼らは私を守ろうとしているのか?
あの鮫から?
「キュイ!」
「SHARK!」
ピンクイルカが鮫を引き付けて遠くに向かっていく。
このまま放っておけば、多分鮫はこちらに来ないだろう。
それで、……良い。
あんな鮫に襲われたらひとたまりもない。
私の倍以上に巨大な身体、骨の鎧、あの牙、どう考えても化け物だ。
放っておくしかない、そう、これは、仕方な――。
『崎島さん。これは仕方ない事なんだ』
クソ上司の言葉が不意に一瞬よみがえった。
仕方ない、ああ、そうだ。そうだった。
私は、その言葉が――。
「GRRRRR!!!」
「「「「「キュイ!?」」」」」
大嫌いだったんだ!!
イルカさん達、そこを失礼する!
海中を駆ける。
水かきで一度大きく水を捕え、身体を収縮、尾をまっすぐ、もう一度水かきで水を掻く!!
よーい。
「GROOO!!」
ドンだ!
一気に骨鮫とピンクイルカの元へ。
「キュイ!!」
「SHARK!!」
鮫が今にもピンクイルカに噛みつきそうだ!
間に合うのか、間に合わない――いや、間に合わせる!
その時だった。
「GR!?」
潮流が変わった。
加速! 一気に私を海が運んでいく。
それはまるで追い風のように私の身体を押して――。
《――それで良い。これが最後のおまけだぜ、サキシマ》
神様の声だ。彼のおかげか。
感謝する! 我が神よ!
「GROOOOOOOOOOOO!!」
「SHA――!!??」
ごっ。
勢いのままに間一髪、鮫がピンクイルカに噛みつく寸前にその胴体に頭から突っ込んだ!
うおおお、頭が痛、……あれ? なんともないな……。
「SHARK……YOU STRONG……」
骨鮫がふらつきながら、海の向こうに逃げ去っていく。
え、追い払ったのか?
「キュイ!! キュイ!」
「GR!」
うお! ピンクイルカ!
キュイキュイ鳴きながら私の顔を鼻先で突いてくる、くすぐったいが……。
喜んでいるようにも見える。
良かった、無事か。
「「「「「きゅいきゅい!!」」」」
わ、気付いたら他の群れのイルカ達まで寄ってきたぞ。
私の周りをぐるぐる泳ぎ始める。
回転、回転、スロースロー、クイッククイックスロー。素敵だ……。
まるで踊っているようだな。
ピコン。
うん? 何の音だ?
【レベルアップ 水竜LV1→水竜LV2 身体の柔軟性が向上します】
【スキルポイントを1獲得。竜化スキルツリーと水属性魔法・神話級スキルツリーにて使用可能です】
む?
なんだ、これは? 海の気泡が文字になった?
ああ、レベルアップもあるのか、この身体。
それに、スキルか。ふむ、後で確認してみよう。
「キュイ!」
「きゅいきゅい!」
む? イルカ達が私の前を泳ぎ始めた。
こちらを振り向きながら、身体を揺らしている?
ついて来いという事か?
私は穏やかな海を彼らと共に進む。
―――――――――――――――
あとがき
読んで頂きありがとうございます。
夏の間は毎日更新目指します。
ごくたまに戦闘回ありますが、基本的にはスローライフモノとして進行します。
現在カドカワBOOKSコンテストの読者選考中です、よければフォローして下の☆評価入れて頂けると非常に助かります。ありがとうございます。
引き続き南の海でののんびりリゾートスローライフをお楽しみください。
また、スローライフもの書くの初めてなので、コメントでこんなスローライフな展開が見たいとか、こんなのは見たくないなどのご意見ご感想もお待ちしております。
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