光の罠

追求者

第U話

 陽が沈むと、街は静寂に包まれた。だが、その静けさの中に、何か異様なものが潜んでいた。アヤは窓辺に立ち、遠くのビル群を見つめていた。彼女の胸は重く、呼吸が浅くなるのを感じた。


「また、あの光が…」彼女は呟いた。


 この町では、夜になると街の一部が奇妙な光に包まれる。その光は、まるで生き物のように動き、触れるものすべてを飲み込んでしまうかのようだった。アヤはその光を避けるために、毎晩カーテンを閉め、部屋の奥に身を潜めていた。理由は知らないが、この町の住民は古来からそうしている。


 しかし今夜は違った。彼女はその光の正体を確かめる決意をしたのだ。アヤは深呼吸をし、意を決してドアを開けた。外の空気は冷たく、彼女の肌に刺さるようだった。光の方向へと足を進めると、心臓の鼓動が速くなり、呼吸がますます困難になっていった。


 アヤは冷たい夜風に身を震わせながら、光の発生源へと向かって歩き始めた。街灯の明かりがぼんやりと彼女の足元を照らし、遠くから聞こえる雑草の騒めきが静寂を破っていた。彼女の心臓は鼓動を速め、呼吸がますます困難になっていった。


 光の方向に進むにつれて、アヤはその光がただの光ではないことに気づいた。それはまるで生き物のように動き、周囲の物体に影響を与えているようだった。彼女は慎重に近づき、光の中に何かが浮かび上がっているのを見つけた。


 それは古びたビルの一角から発せられていた。ビルの窓から漏れ出る光は、まるで何かを呼び寄せるかのように輝いていた。アヤはビルの入口にたどり着き、ドアを押し開けた。中は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。


 彼女は階段を上り、光の源へと向かった。途中、壁に描かれた奇妙な模様や、床に散らばる古い書類に目を奪われたが、彼女は足を止めることなく進んだ。やがて、光が最も強く輝く部屋にたどり着いた。


 部屋の中央には、大きな機械が置かれていた。その機械から発せられる光が、部屋全体を照らしていた。アヤは慎重に機械に近づき、その表面に触れた。すると、機械が低い音を立てて振動し、光が一層強くなった。


「これは一体…?」アヤは呟いた。


 彼女は機械の操作パネルを見つけ、慎重にボタンを押してみた。すると、機械が再び振動し、やがて、光の中から一つの映像が浮かび上がった。それは、かつてこのビルで行われていた実験の記録だった。


 アヤはその映像を見つめ、光の正体が何であるかを理解し始めた。それは、かつての科学者たちが開発した新しいエネルギー源であり、何らかの理由で制御不能になってしまったものだった。彼女はその事実を知り、光を制御する方法を探る決意を固めた。


 ...が、すでに遅かった。


 致死量をはるかに上回る放射線を浴びたアヤは、1フレーム後には屍になっていた。










 その夜、世界から町が一つ消えた。




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 原子力発電にはいくつかのメリットがあります。以下に主なものを挙げます。



 安定したエネルギー供給:  原子力発電は、天候や時間帯に左右されず、安定して大量の電力を供給できます。



 燃料の安定確保:  原子力発電の燃料であるウランは、比較的政情が安定した国々に埋蔵されており、燃料の確保が容易です。



 二酸化炭素(CO2)の排出がない:  発電時に化石燃料を燃やさないため、二酸化炭素を排出しません。これにより、地球温暖化対策としても有効です。



 少量の燃料で大きなエネルギーを生み出せる:  ウランの核分裂によって得られるエネルギーは非常に大きく、少量の燃料で大量の電力を生み出すことができます。



 電気料金の安定:  ウランの価格は比較的安定しており、燃料コストの変動が少ないため、電気料金の安定にも寄与します。



 これらのメリットにより、原子力発電は多くの国で重要なエネルギー源として利用されています。ただし、放射性廃棄物の処理や安全性の確保など、課題も存在するため、これから人類はこのエネルギーとどのようにして向き合っていくのか...よく考えないといけませんね。

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光の罠 追求者 @pursue

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