第2話

 僕はあの出来事の夜寝られなかった。あのツインテールヒロイン(以降ツイヒロと略す。)のセリフが何度も脳内再生される夢状態で気がつけば朝になっていた。寝不足である。そして朝の通学の時間を迎え何気ない一日が始まる。僕の登校は早く教室に着くは毎日一番である。自分の席に鞄を置きラノベを手に持って廊下で読んでいる。時間が経つにつれて厨二マン、巻き込まれマン含む友達らと挨拶からの雑談タイムに入るのが日課だ。雑談の内容は主に学校生活に関する事は勿論だがアニメ・ゲームといった趣味の話は特に盛り上がる。今期はこれにハマっててやら推しがさとかイベントとか。今でもオタ活は元気の源だ。

そんなこんなして予鈴のチャイム5分前ぐらいになったら解散して教室へと帰る。その途中だ。「おはよう!」という声が後ろから聞こえてきた。女友達(ツインテールヒロインのフレンズ(略 ツイフレ))に対しての挨拶だろうと思っていたが「俺君。」と聞こえてきた瞬間に背筋が伸び変な汗をかいた。ツイヒロからの挨拶、僕も小声で「おはよう・・・」と返した。彼女は気分が良かったのかルンルンとした気分で教室へ入った。僕はほっぺたをつまみ痛かったので昨日を含め夢ではない事を確認し僕のクラスメイトでもある。可愛い。あ、春が訪れたと。

 とある日の休み時間、教室にて僕はいつもの用に自分の机にうつ伏せで寝ていた。ふと状態を解きあくびをした。その瞬間にとある方向からガン見されている様に感じた。終えた数秒間でその方向に向かってチラ見したらツイヒロとツイフレが見ていた。表情はなんだろうキラキラした目をツイヒロはしていた。動物園にてかわいいペンギンさんやらパンダを見る様な目だった。ツイフレは微妙な表情だったがそれが普通かな。うん、恥ずかしかった。だが嬉しくもあったし余計ツイヒロの事を意識してしまう。ひょっとして僕の事・・・なんつってね。

 夏休みが終わり2学期に入った。季節は秋であり学校を挙げてのテンプレ大行事がある。文化際だ。僕、厨二マン、巻き込まれマン、ツイヒロの所属する我がクラスはみんなで作った絵や模型を飾る展示会的な流れになった。アニメやゲーム界隈ならメイド喫茶とかリアルなんちゃらとかが想像できるが現実では不可能な出し物でありわかってはいても少し残念ではある。僕は高校生なったらなんらかの青春をしたいと中学3年の頃から考えていたのでクラスの出し物に放課後も積極的に参加した。確かにこのイベントは俗にゆう陽キャラが主たる軸として動くモノだ。授業中に作業時間が用意されている以外、つまり放課後に残って作業をしているメンバーはクラスの中心的人物ばかりであまりコミュニケーションを取った事がない人ばかりであり陰キャラに分類される僕は果たしてあのコミュニティーに交われるのかいかに。その中の一人にツイヒロがいた!そんなおろおろしている僕に気がついたのか視線を合わすと同時に恥ずかしそうな表情をしながら小さく手を振った。 なんか、熱いなぁ。

 そんなこんなで話す相手もいないので作業を黙々と進めていたら同じ作業をしているクラスメイトが話しかけきた。そんな時の僕の脳内は「どどどどうしよう・・・どう返し言葉をすればっ」というコミュ障が発生した。なんだかんだで雑談をしている中で「や、やっほ~。」という声が聞こえた。声の発生源であるツイヒロがこっちへ向かって来ると同時に僕の緊張度が更に高まった。「や、やっほ~...」と小声で僕も挨拶を返すと予想外だったのか向こうの反応はやや嬉しそうだ。作業の途中でお手洗いに行く為に教室から出て用を済ませ廊下を歩いていると目の前にツイヒロがいた。ニヤニヤした表情でこちらに向かって歩いてくる。僕は緊張しながらも会釈してすれ違う瞬間に彼女が僕の耳元で「可愛い。」とささやいた。直後振り向いたが何事もなかったかの様に彼女は歩いていく。


その時の僕は時間が止まった様な感覚になった。

 


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すれ違った二人は大人になって もえはぐるま @kagenohaizinron

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