第6話 神はサ〇ヤ人ではない
そして僕らは洞窟についた。周囲はもう完全に夜である。僕らは体を冷やさないようにするために拾ってきた木の枝や火種を作るための草木を集めた。ここで僕は一つの問題に気づいてしまった。枝を準備し火種となる草木を集めたのはいいものの、いったいどうやって火を点ければいいのだろうか。僕は火を点けられる物を持っていない。あるのは小銭の入った財布だけである。前日に夜更かししたせいでスマホの充電がなく、スマホさえ家に置いてきている。ここに連れて来られたのは突然のことであり、当然準備もしていない。
「あの、これはどうやって火を点ければいいのでしょうか?」
「ふふ。案ずるでない。この儂に任せればよい」
彼女は自身満々にそう言った。彼女は神だと名乗っていた。もしかしたら神の力とやらで何かしてくれるのだろうか。そうだとしたら尊敬できる。さすが神である。
「わかりました。それでどうやって火を点けるかお聞きしてもよろしいですか?神パワーで魔法とか使えるのですか?」
「
違ったらしい。怒られた。
「じゃあ、どうやって火を点けるんですか?」
「簡単じゃ!これを使うのじゃ!」
「!」
そう言って彼女は懐からライターを出した。コンビニで売ってそうな安物ライターである。まさに今欲しかったものである。だがそれでいいのだろうか、この自称神は。彼女は本当に神なのか?疑わしい。それにーー
「何でライターなんて持っているんですか?」
「ふふ。簡単なことを。準備しておいたからじゃ!」
そう言って彼女はドヤっとした。そして僕は少しイラっとした。ついつい溜息を吐いてしまう。その後彼女からライターを借りて火を点けた。
「あなたは神なのに魔法みたいなものを使えないんですか?」
「使えん」
そうなのか。使えないのか。僕の中にいつの間にかできていた『彼女は神メーター』がググっと下がった気がした。がっかりした目で見てしまう。
「そなた、儂を使えない子のような目で見るのはやめろ。確かに儂は魔法を使えん。オーラは出せるが、か〇はめ波も打てん。神は人と同様万能ではないのじゃ」
か〇はめ波も打てないのか…。それもこの世界の常識なのだろうか。
「寝る前にこれを食っておけ」
懐から一本のカ〇リーメイトを僕に差し出す。お腹は空いていたので助かる。だが何でこれを持っているんだろうか。これも準備してきたのか…。
「それと今夜は儂が見張りをする。そなたは疲れておるだろうからさっさと休め。明日の朝は早いぞ」
僕はここに来て体力的にも精神的にも疲れている。その言葉はとてもありがたいものだった。そして横になり目を閉じるとすぐに意識が落ちた。
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