三〇章 エルをはなせ!
ギャア!
「きゃあ!」
「エル!」
エルが
エルの
空から飛びかかってきたスカヴェットの足の爪が、エルの両肩にしっかりと食い込んでいた。エルを
エルは必死にスカヴェットを振り払おうとした。両肩をつかまれているせいで腕が思うように動かない。それでも、身をよじり、足をばたつかせ、なんとか追い払おうとする。
ニーニョのなかで
「わああっ!」
エルの
エル自身が
その
ニーニョはおとなしい
けれど、そのニーニョにしてもこれほど多くの血が
はじめての
「くそっ、エルをはなせ!」
ニーニョはあたりにある石でもなんでもひろって投げた。スカヴェットの顔めがけて叩きつけた。ゴッ、ゴッ、と
エルは
それでも、
なんとしても生き延びるのだという生物としての
けれど、スカヴェットはエルをはなそうとはしなかった。ふたりの必死な
スカヴェットは大きさだけで言えばエルたちよりもむしろ小さい。コウモリのような大きな
このままでは
ニーニョはそう
なにか武器はないか。あいつを
いまやこの
ニーニョは大きな石をひろって手近な木に駆けよった。石で枝の根元を叩いて、打ち砕いた。
力任せの一撃だった。おかげで自分の腕もジ~ンと
「うわああっ!」
スカヴェットの
「さあ、こい! お前の相手はおれだ」
ニーニョは
このとき、ニーニョは忘れていた。本で読んだ
『スカヴェットはデイモンのなかでも一番の下っぱであり、
という
つまり、スカヴェットには
スカヴェットに知性はなかったが、食い物を得るための知恵はあった。その知恵に
「きゃああっ!」
エルの
「エル!」
ニーニョは
あと一歩、届かなかった。エルの体は空高く連れさられ、必死にのばしたニーニョの手は足の下の空気をつかんだだけだった。
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