二三章 アカデミーへ
「なに⁉ なにがどうなったの⁉」
エルは叫んだ。ニーニョだってわからない。わけのわからないまま立ち尽くしている。
エルは
世界は
雲ひとつない青空だったはずの空はいまや
雲ではない。
大量の雲がわきだして日をさえぎっているわけではない。空は晴れている。たしかに晴れているのだ。
そのことは
これは『
石。
石! 石! 石!
ふたりの目の前には無数の
騎士団たち。
ゾディアックの
この場に集まった三つの騎士団が全員、立ったまま石と化していた。
ク・ブライアンもフィン・ブライアンも
もう誰も身動きひとつしない。動くものといえば風にはためく
「なんで? なんでこんなことになったの⁉」
エルは両手を口にあてて
おてんばを絵に描いて
ニーニョも似たようなものだった。ヤンチャで、
いったい、なにが起きたのか。
自分たちだけが石で作られた
それとも、それとも……本当に生きとし生けるものすべてが石にかわってしまったのか?
ふたりはひとりでも無事な人間がいないかと
世界のすべてが石にかわってしまった。
その
広場中を走りまわり、
騎士たちにも一人ひとりさわってまわった。だって、もしかしたら
見つかったものはさらなる
すべてが石になっていた。
騎士団の
人気のない夕方にこっそりやってきてはドキドキしながら
広場の
そのすべてが石になっていた。それこそ、
そして、騎士たちはまちがいなく石になっていた。見た目だけではない。手でさわった
本当に、すべての生き物が石となっていた。生命あるもので動いているのはエルとニーニョのふたりだけ。まわりは
「なんでこんなことに……」
今度はニーニョがうめいた。
なにが起きたのかわからない。
どうすればいいのかもわからない。
ふたりはしょせん、子供だった。いつも元気いっぱいでおとなを出し抜く
――せめて、ひとりでもおとながいてくれたら。
――おとなの人ならきっと、どうすればいいのか教えてくれる。なんでこんなことになったのか、どうすれば元に戻せるのか、きっと知ってるはずだ。おとななら、それも、アカデミーの先生たちみたいな人なら……。
「アカデミー……」
ポツリ、と、エルは
授業をサボって逃げてばかりだったけど、きらいだったわけじゃない。逃げ出すために行くのが好きだった。先生たちとの追い駆けっこだって大好きだった。そのスリルと
「アカデミー」
もう一度、エルはその言葉を口にした。
「アカデミーに行こう、ニーニョ」
「えっ?」
「アカデミーの先生たちは物知りだもの。もしかしたら
ニーニョの表情が明るく輝いた。
「そうか! アカデミーがあった。アカデミーならきっと……」
「うん……!」
ふたりはそろってうなずいた。希望を取り戻した表情が輝いていた。
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