四章 ゾディアックの街並みは迷路のように
校長先生が
エルたちは
エルはゾディアックの
おとなたちが知らないような細い
おとなたちは
無駄に時間がかかるし、迷いやすいし、
いつも、そう文句を言っている。
そんなのナンセンス!
エルはそう思う。
他の
こんなところにこんなものがあったんだっていう驚きを感じられなくなっちゃう。
そんなのつまらない。少しぐらい
だから、エルは今日も新しい発見を求めて
そんなエルたちには
小さな
エルたちに行けない場所なんてなかった。エルたちこそ空に浮かぶ
つむじ風のような子供たちの一団が町中を走り抜ける。当然、おとなたちの目にとまる。チョコンと帽子をかぶった男の子のような少女の姿を見かけたおとなが声をあげる。
「こら、エル! あんたはまたサボって……」
エルの顔と名前、それに
本来、
でも、エルだけは
「まちなさい、エル! あんたは
ちょうど洗濯物を
そのおばさんは胴回りだけではなく腕も足も太かった。家事で鍛えた体力にも自信があった。子供のひとりやふたり、片手でつまんで風呂場に放り込み、ゴシゴシ洗ってやれるのだ。
でも、なんと言っても相手は風の子のような子供たち。その
追いかけてきたおばさんは頭から湯気を吹き出して怒り狂い、
おばさんの
「おいしい!」
ためしに一口つまんだ途端、エルは飛びあがって叫んだ。しっかりしているのにくどくない味付けといい、サクッとした
「お兄さん、見ない顔ね。
「ああ。ようやく、
「そりゃあ、もちろん」
と、エルは
「あたしはゾディアック中のファーストフード店の
「さすが、『ゾディアック案内人』のエルだね」
まだ若い店主は笑いながらそう言った。
エルが相変わらず
「あれ? なんで君のことを知っているか、聞かないの?」
その問いにエルは当然と言わんばかりに答えた。
「そんなの決まってるじゃない。このゾディアックに住んでいる人で、あたしのことを知らない人なんているわけないわ」
なんとも
「まっ、とにかく、自信もっていいわよ。こんなにおいしいフィッシュ&チップスの屋台なんてゾディアック中探しても、他にないもの。すぐに
「ゾディアックナンバー1案内人の
と、新しい包みを渡す。
「サービスしておくから、うちの
「ありがと、お兄さん。大好き!」
包みを両手に抱えてエルは
そこに新しい客がやってきた。『ゾディアックに住んでいる人なら知らないものはない』女の子のことは、遠くから後ろ姿を見ただけでもすぐにわかる。若い店主と客とはダナ家のおてんば娘のことでひとしきり盛りあがったのだった。
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