出会い

第1話 言葉


 (やっぱり、緊張するな)

教室のドアの前、いつものうるささが耳に響く。

(もう、逃げないんだ)


 ドアを開けた瞬間、教室の中が静まり返った。


 いつものように悪口を言われる。

そう思っていた。

でも、違った。


「お、おはよう」


 そう話しかけて来たのはいつも静かな木下さんだった。


 返事ができないのがつらい。

今井君以外の人に初めて話しかけられた。


 嬉しさの反面、木下さんも僕のことをいじめるんじゃないか? そう思ってしまう自分の心が痛む。


「前から、話しかけなかったんだ。本当は、みんなにだって注意したかった。けど、私は怖くなっちゃって……ごめんなさい」


 頭を下げる木下さんに僕は頭を左右に振る。


「あ、りが、とう」

 思わず言葉が出る。

活舌は悪いけど、ちゃんと伝わった。

 僕の言葉に木下さんの目からは涙が流れ出ていた。


「ごめんね。本当にごめんね」


 七月九日 今日、僕に二人目の友達ができた。

                                   つづく


~あとがき~

さあ、ここからは二章です!

新たな友達、木下さん!

閉ざされた心は、徐々に開かれていく。


面白かったら応援、フォロ―よろしくです!

では次回もお楽しみに!

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