第5話 昼休み 修正版


 こんなところにはいられない。

そう思った僕は足早に教室を出ると、人目の着かない廊下の端で深く息を吐く。


 込み上げる涙をこらえ、僕は重い足取りで教室に戻る。


(嫌でも、授業は出ないといけない……)


 ドアを開け教室に入る。


(苦しい、つらいよ……)

 全員が鋭い目つきで僕を睨む。


(なんで……)


 沈んだ気持ちのまま授業を受け、お昼休みのチャイムがなった。


 お昼を食べ終えると同時に突然、僕は誰かから肩をポンッとたたかれた。

振り向くとそこには転校生の、確か、今井君、がいた。


 驚きで体が動かない。

今井君は優しい笑顔を見せ、僕に話しかける。


「お隣さん、だよね? よかったらこの学校のこと教えてくれないかな?」


 ハッとして何か言わなくてはと口を開けるが声は出ない。


 不思議そうに僕を見つめる今井君の後ろから、女子の冷たい声が響いた。


「駄目だよしんじ君」


 蔑むような視線で僕を睨み彼女は続ける。


「こいつに話しかけたって意味ないよ」


 言い返したくても、何も言えない。


「こいつ、しゃべれないし使えないから代わりに私が行ってあげる」


「……」


 きつい言葉が心を抉る。


(もう、一人は嫌だ……。誰か、助けて……)


 全身が震え、涙を隠そうと下を向いた時だった。


「やめなよ! そういうこと言うの!」


 その言葉は、僕の心を救った。


怒りに満ちた声が、教室中に響く。


「え?」


 教室内は驚きの声でいっぱいだ。

顔を上げると、真剣なまなざしで彼女を睨む今井君の姿があった。


「俺は、そんなこと言う人とは行きたくない!」


 衝撃だった。

 呆然としてる彼女をおいて今井君は僕の手を取る。


「さ、行こう、お隣さん」

 優しい笑顔でそういうと、今井君は教室の外へと、僕を連れ出した。

                                   つづく


~あとがき~

 この作品はフィクションです。(突然だな!?)

アドバイス等ありましたら教えていただけると嬉しいです。

また、面白かったら応援してくれると私ネコ愛が喜びます。

それでは、次回もお楽しみに!

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