第4話





「はるちゃん!今日はなんの本読んでるの?」


「スイーツの作り方の本を読んでいたの」


「え!すごいじゃん!じゃあ作ったら食べさせてよ!!」


「まあ毒味係として食べさせるわ」



あれから何度も何度も図書館に行き、少しずつ馴染むようになってきた。 


ああ、俺は天才だったか…


だが、この1400ページもあった『猿でもわかる恋愛の進め方』がもう終わってしまった。



「……文字を読むスピードが早いのね」


「え?そう?」


「ええ、それに習ってないような漢字もあるのにすらすら読んでるじゃない。ほんとに小学生?」


「小学生だぞ!ぴちぴちだぞ!」


「…そうね、その間抜けな顔は確かに小学生ね」



え?今disられた?


…気持ちいい!!



「そういえばさ、はるかちゃんってどこの学校に通ってるの?」


「△△小学校よ」


「え?!意外と近くじゃん!一駅ぐらい離れてるかと思った」


「堺くんはどこの学校に通ってるの?」


「おれ?俺は◯◯小学校に通ってるんだ!」


「確かに近いわね…」


「今度さ!体育祭があるんだけどさ!よかったら来てよ!」


「ええ…いやよ、めんどくさい」


「だよねー」



俺の立場でも好きでもないやつのところには行かないな。うん、そりゃそうだわ。





◇◆◇




そして、図書館に通い続け月日が経ち、

遂に体育祭の時が来た。

まあ、体育祭といってもダンスと走るだけだ。ちなみに俺はアンカーで他のクラスの男子もアンカーを任されている。


ザワ…ザワ…



始まる!



「よーーーーい、ドン!!!」


パァン!!


合図と同時に女の子達が走り出したが、意外とうちクラスは二位をキープしてる。

うん、いいね!


そのまま、2人目、3人目とバトンが渡されていくうちに悲劇が起こった。


「佐藤さんパス!ってあ!!」



同じクラスの斉藤さんがバトンを落としてしまった。


そして、後ろから来る三位、四位のクラスに抜かされてしまった。


「「「ああああ!!!」」」


「え!どうしよう!負けちゃう!」


「で、でも、堺くんがいるから!!」


「「「「確かに!!」」」」


「いや無理」


「ええ?!」


「「「「そんなあ!!!」」」」




無茶言わないでくれ、

流石にジーニアス(笑)な俺でもあれだけの大差があったら追いつかないぜ。



そして、最下位になってしまったショックからか、それとも抜かそうと焦ってしまったのかは分からないが、また1人バトンを落としてしまった。



幸い、足の早い子が少しだけ距離を縮めたものの、次がアンカーよ俺だから三位は厳しそう。


「はーい堺くん、レース上にたってくださーい」


「はい」



同じクラスの皆んなが不安そうな顔で見てくる。そんな顔で見られても、無理だよ( ;∀;)



まあ、やるだけやるか…

そういえばマッマとパッパいるかな?

俺の走りっぷりをカメラで激写してもらうべくアピールしないと!



ふと、パッパとマッマがいるか気になり、観客達がいる方へ視線を向けた。



どこだどこだ〜。





————え………??




み、見間違いじゃないよな。




『透き通るような肌に白魚のような細い指、太陽の光で輝く黒髪にくりくりっとした丸い目、そして、顔がむちゃくちゃ可愛い』





————そう、俺が女の子だ。







「…………………はるちゃん?」









———


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