後日談

エグランティーノ・ディアマン・ドゥ・ユベール


 リーブラ礼拝堂襲撃事件後、西方の視察に派遣され新たな交易路の確立に貢献した。夫と共に国内外に赴き、彼女の記した旅行記は当時の各地の情勢を研究する重要な記録となっている。

 歴史上実在が確定している唯一の乙女であり、その人生と神秘的な容貌から後世様々な作品の題材となった。



 

グエナエル・レジェ


 結婚後、エグランティーノとの視察で得た知見を活かし初等教育の普及や地方の生活環境の改善などに取り組んだ。

 夫婦仲は円満で終生妻のそばを離れることがなかったことから、愛妻家の夫を表す『ヒルデの騎士』という言葉の由来にもなった。晩年は爵位を賜り、愛する妻と子と穏やかな日常を過ごしたようだ。


 


レイモンド・ミュルール


 地方行政に興味を持った彼は行政官としての頭角を現し、平民として異例の大出世を果たした。

 王室との諍いが絶えなかったとの説もあるが、マヌウ=メイアン女王の施策には必ず彼の名前が入っていることから王室とも良好な関係を築いていたと現在は考えられている。


 


グレース・オパル・ドゥ・ユベール


 戦場の女神と崇められたものの女王の即位後は前線から退き、女王の近衛隊長として生涯その身を守ったとされる。

 その華やかな戦績と忠誠心から男勝りな女傑だという意見と家庭的な令嬢だったという意見とで長年議論が続いているが、未だに結論は出ていない。

 


 

ユリウス・トネール・ドゥ・フェルティル


 美しい容姿から妻は最も多いときで30人いたとされている。経済・政治・学術全てにおいて重要な役割を果たしたことから数々の活動家や政治家から協力を求められたようだが、その心を動かした人物は終ぞ現れなかった。

 エグランティーノに密やかな想いを抱いていたと描かれることが多いが、後世の創作だという説が一般的だ。

 


 

マヌウ=メイアン・ローズ・ロジェ


 即位後数々の改革を行い、国は繁栄を極めた。現代国家の母であり、彼女抜きにしてこの国の歴史を語ることはできない。

 その功績を讃えて高額紙幣に彼女を描こうとした役人に対し「民に一番近い硬貨にしてくれないか」と語ったことから、今でも彼女の横顔が銅貨に彫られている。



 

アレクシス・クリソベリル・ドゥ・ユベール


 女王のもとで国防大臣に抜擢され軍部改革を行った。彼が現役の間は大きな戦争が起こることはなかったが、それは彼のもとで強化された軍隊との戦争を各国が恐れたためだとされている。

 厳しい容姿に反して心優しく、部下からも慕われていたため「身体は強く、心は優しく」という願いを込めてアレクシスと名づける親が増えたとか。



 

アンリ・サフィール・ドゥ・ユベール


 軍師として父に師事するも、言語が堪能であったことから軍人ではなく外交官の道を志す。

 交渉に長け数々の条約を取り付けた冷静沈着な姿は外交官の鑑とまで言われているが、私生活ではその勘が鈍ってしまうのか美しい容貌でありながら色恋沙汰に疎かったとの記録が残されている。

 


 

トラウィス=クエルボ


 伝承から史実に至るまで名前以外の記録が残されていない。あるときは公爵家に、あるときは王室に従っていたようだ。

 歴史家の間では間者を示す当時の隠語ではないかと言われているが、彼を描いたとされる当時の歴史書には何故か全て鴉の群れが描かれている。



 

リヴェール・ブロン・ロジェ


 演劇や小説などでは悪役として描かれることが多いが、その多くは創作であり実際の記録はあまり残っていない。

 妹の即位後に王籍を離脱し中級貴族の婿養子に入った以降の記録は一切無いが、当時描かれた肖像画はその美しさと貴族らしい出で立ちから代々受け継がれ、現在は国立美術館に収蔵されている。

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【全年齢版】私を殺してフェアリーダイヤにキスをして @touka_muimui

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