4話.グループRINE:ダンジョン(6)
闇夜
『おい、突然だけど会議だ』
奈落
『なんじゃ急に、寝ておったんじゃが』
蜃気楼
『はーい、なんですかー?』
深淵
『ああ、内容は分かった』
奈落
『なんじゃ?ワシは全く分からんのじゃが』
正義
『今来ましたー』
闇夜
『デイノは知ってるようだが、他に予想ついてるやつはいるか?』
蜃気楼
『なんとなーくは分かってます』
奈落
『全くわからん』
正義
『いや、知らないっす』
呪妖
『俺も分かってるっす』
奈落
『ワシは分かっておらんぞ?』
闇夜
『アビスお前、うるさい黙っとけ』
深淵
『アビス、お前鬱陶しいぞ』
奈落
『知らんのじゃから、仕方ないじゃろう』
正義
『自分も分かってないので教えていただけるとうれしいっす』
闇夜
『お前ら、ダンジョン配信見てないのか?』
奈落
『当たり前じゃ、一ヶ月ぐらい寝ておったからの』
正義
『自分はそもそも興味ないんで、忍野勇斗の配信を一回見たぐらいっすね』
闇夜
『おいデイノ、こう言ってるが?』
深淵
『ああ、意味が分からん』
闇夜
『そうだそうだ!言ってやれ!!』
深淵
『任せろ!あのな、ダンジョン配信ってのは地上の人間がダンジョンを攻略するのをリアルタイムで配信しているのだが、面白い点はその探索者の作戦だ。目標のストレンジを撃破するために念密に策を練る。俺達なら余裕でフルボッコにできるが人間はぞうじゃないんだ!弱いからこそ、知恵を使って勝つ。稀にSランクという人外もいるが、そいつ等も何の策もなしにダンジョンにアタックしたりしない。しかも強いやつほど使う技も派手なものが多い。強い俺達じゃ分からないことが多いから学べるし、楽しめるんだ!まあ、たまに探索者が弱すぎて腹が立ったりするがそこも俺達視点の配信の醍醐味だ。最高じゃないか、ダンジョン配信。絶対に見てくれよな』
正義
『あ、はい。また見てみます』
奈落
『お前のほうが鬱陶しいわ、長文送りつけおって』
闇夜
『流石デイノ、ダンジョン配信の視聴者として出来上がってやがる』
蜃気楼
『まあ、デイノさんは配信が始まったころからそうでしたし』
呪妖
『ちなみにいつからダンジョン配信ってあるんすか?俺が自我持ったころには会ったと思うんすけど』
奈落
『さあ、知らんな。気づけばあったんじゃ』
闇夜
『確かデイノが俺等におすすめしてきたんだよな』
深淵
『ああ、俺がおすすめした記憶はあるがいつかは覚えてない』
正義
『そこは知らないんすね』
闇夜
『意外と適当なんだな、お前』
奈落
『ナイトよ、今更なにを言っておる。こいつが適当なのは昔からじゃろ』
闇夜
『まあ、確かに』
正義
『あの、話変わるんすけどネークはどうしたんすか?いなくなってるけど』
闇夜
『お、その話が今回の本題だな』
深淵
『ワンチャンあるかもって思ったが、どうやらなかったらしい』
正義
『え?なんかあったんすか?自分あいつと仲良かったんすけど』
闇夜
『そうか、なら残念だな』
奈落
『なるほど、予想はついた。そういうこともあるじゃろう』
正義
『え?ちょ、どういうことすか?もしかしてこのチーム抜けたんすか?』
深淵
『ならよかったんだがな』
闇夜
『ヒジリ、落ち着いて聞け?』
正義
『分かったっす』
奈落
『ネークは死んだ』
正義
『は?』
深淵
『は?』
闇夜
『は?』
蜃気楼
『え?』
呪妖
『うえ?』
奈落
『え?もしかして違ったかの』
闇夜
『合ってるけど。合ってるけど!!』
深淵
『知らないお前が言うなよ』
蜃気楼
『今のはナイトさんが言う流れだったですよ』
呪妖
『俺は乗ってみただけっす』
正義
『ちょ、……え?死んだってマジすか?』
闇夜
『ああ、確認に行ったところ死体を見つけた』
深淵
『もう自由に行き来できるしな』
呪妖
『あ、ホントだ。行けた』
正義
『そんな……誰がやったんすか?』
深淵
『そこが問題なんだよ』
闇夜
『ああ、そこからが本当の本題だな。誰がネークを殺したのか』
蜃気楼
『やっと本題ですね』
奈落
『さっき配信の話をしておったろう?その忍野勇斗に殺されたんじゃないのか?』
深淵
『それが判明したのは忍野勇斗の配信だな、約半年ぶりの』
正義
『じゃあそいつ、殺してきます』
闇夜
『待て待て、死ぬぞお前。知らないわけじゃないだろ?忍野勇斗の圧倒的な強さを』
正義
『でも、だとしても!!!』
闇夜
『話を最後まで聞け、いいか?そもそも人間に自我持ちが殺された程度じゃ緊急で会議なんか開かんよ』
深淵
『それはそうだな。基本どうでもいい』
呪妖
『まあ、面識なかったですし』
蜃気楼
『もしも忍野勇斗がネークを殺して、緊急会議開いてたら破獄を見捨てたりしてないでしょ』
正義
『じゃあ、なんなんですか』
闇夜
『ネークを殺したのはファンガというストレンジだ』
呪妖
『聞いたことないっすね』
蜃気楼
『私も知らない自我持ちですね』
深淵
『予想してなかったからビビったんだよな』
正義
『じゃあそいつに報復しに行きます』
闇夜
『待て待て!そいつは危険度Sランクダンジョン”獣園”の自我持ちだ、慎重になる必要がある』
正義
『どこすかそれ』
蜃気楼
『そもそも危険度Sって御三方だけじゃないんですか?』
深淵
『何言ってる、危険度Sはこの国じゃ3つだ』
蜃気楼
『え、それってもしかして』
奈落
『そう、”獣園”は大陸のダンジョンじゃ』
闇夜
『え?』
深淵
『は?』
蜃気楼
『ええ』
正義
『え?』
呪妖
『うえ?』
深淵
『アビスお前、いい加減にしろ。それは俺のセリフだ』
奈落
『知っておったんじゃが、言い出す隙を見失ったんじゃ』
闇夜
『じゃあ大人しく黙っとけや』
蜃気楼
『海外ダンジョンってことですか?』
正義
『なんでそんなやつがこの国に……しかもネークを』
深淵
『多分前の騒動が原因だな』
闇夜
『流石に派手に動きすぎたな、後悔してる』
呪妖
『もしかして俺のことすか?』
闇夜
『ああ、お前らに頼んだ依頼だが流石にこうなるとは思っていなかった』
深淵
『カースたちに出会った探索者が世間に広めた結果、それが海外ダンジョンの自我持ちの耳に入ったと』
奈落
『そしてあっちも大きく動いたわけじゃな』
闇夜
『なあ、流石に見られたのは始末ぐらいしとけよ』
呪妖
『でもアンノさんが「殺すな」って』
奈落
『確かデイノのとこの……
深淵
『あいつならしそうだなー、何か理由はあると思うけど』
闇夜
『そういえばカース、目の前で見てどうだったんだ?』
呪妖
『やーめっちゃかっこよかったすね。理想の先輩って感じで』
深淵
『そうか?あいつダラダラしてるぞ?』
呪妖
『いや、ダラダラしててもかっこいいんすよ。あとはそうですね、絶対に戦いたくないっす』
奈落
『ほう?カース、そこそこ強いお前でも嫌なのか?』
蜃気楼
『カースでも嫌なんですか』
呪妖
『いや、普通に無理っす。死にます』
深淵
『そんなに強いなら言ってくれればいいんだがな』
闇夜
『お前、嫌われてるんじゃないか?』
蜃気楼
『デイノさん……可哀想に』
奈落
『そら嫌っておっても仕方ないじゃろう』
深淵
『俺、嫌われてるのかな。ポイジェもクラッキーもアンノの強さ知ってる感じだったし』
正義
『思ったよりハブられてる……』
闇夜
『ていうかさ、そのクラッキーはどうなの?強い?』
深淵
『強いぞ?これは知ってる』
呪妖
『俺は見てないんで分からないっす』
奈落
『じゃあ、そこそこやるって感じじゃの』
蜃気楼
『それでいいんじゃないですか?あまり過剰に期待してもあとで損しそうですし』
闇夜
『まあ、協力し合うのならあまり過信はしないほうがよさそうだな』
奈落
『ん?協力?どういうことじゃ?』
闇夜
『そのまんまだよ、協力するんだよ』
深淵
『え?俺も初耳なんだが』
蜃気楼
『え?てっきり皆さん分かってるのかと』
闇夜
『あのな、例のファンガは忍野勇斗に殺されているけどそれ以外にもいろいろ連絡つかなくて確認しに行ったら死んでたやつがいるんだよ』
深淵
『え?知らないんだが』
闇夜
『でな、多分相手は大陸軍の協力チームだ』
奈落
『だからこっちも手を組んで叩き潰そう、ということじゃな』
闇夜
『そうだ、反対意見があるならいいぞ?』
深淵
『それに関してはいいぞ』
蜃気楼
『私は元よりその気持ちだったので』
呪妖
『いいっすよー』
正義
『あー、もう死んでるんすかネークの敵。でもいいっすよ』
闇夜
『でもな、大事なことがあってな。どこに来るか分からんのだよ』
深淵
『致命的な問題じゃないか』
呪妖
『いきなり10体とかで来られたら流石に無理っすよ?」
闇夜
『ああ、だからこうすることにした』
奈落
『こう、とはなんじゃ?』
闇夜
『俺、アビス、デイノのダンジョン以外のところに敵が来た場合余裕があればこちらから支援を出す』
深淵
『つまり出撃しろと?』
闇夜
『そういうことだ』
正義
『確かに、それなら死亡率は下げられるっすね』
呪妖
『こっちが承認すればいつでも来れるんでそれなら大丈夫っすね』
奈落
『でも、こっちは人手が少ないからパスじゃ』
深淵
『あーそれは仕方ない』
正義
『え?奈落には四皇がいるんじゃないんすか?』
闇夜
『いろいろあるんだよ』
深淵
『あまり追求するな、なんせ個人情報だからな。俺のはダダ漏れだけど』
闇夜
『じゃあ、攻めて来たらデイノに連絡しろ?アンノとか言うクソ強ストレンジが助っ人で向かうからな』
深淵
『勝手に決めんな』
奈落
『いいじゃろう、強いんじゃし』
深淵
『あいつ、話聞かない気がするけどなー』
正義
『あの、それは分かったんすけど、そのファンガってやつどんな死に方しました?』
闇夜
『ああ、上半身を消失して死んだ』
正義
『無様ですね』
深淵
『ありゃ、ウロボロスの技だな。孵化したやつが引き継ぎやがった』
奈落
『孵化じゃと!?また面倒くさいことを』
蜃気楼
『じゃあその孵化した子竜が来た場合も救援呼びますね?』
深淵
『いや、お前一応俺等の次に古参なんだから尊厳くらいは守ろうな?』
蜃気楼
『はーい、死んだら恨みますからね』
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