第14話 わたしの親友
わたしは、
「そうだったんですか……。素敵な話ですね」
と言った。
「恋人どうしになってからは、お互い、一緒に住みたいと思っていたわ。でもお互い住んでいるところが違うから、それはすぐには無理。一緒に住む為には、わたしがグレゴフィリップ殿下のところへ嫁がなくてはならない。そして、グレゴフィリップ殿下は王太子。結婚となると、王国の将来を左右することにもなるので、わたしが将来の王妃にふさわしいか、というところから話は始まることになったの。わたしはその舞踏会が終わった後、グレゴフィリップ殿下と手紙のやり取りを深めていった。そして、学校の長期休暇を使ってフィスヴィヤール王国の王宮に行き、グレゴフィリップ殿下の国王陛下と王妃殿下と会い、そこで将来の王妃となるにふさわしいかどうかを厳しくチェックされたの」
「大変な話ですね。お二人にチェックをされるのですから」
「わたしもさすがに緊張したわ。お二方は隣国の人間なので、あまりわたしのことをよく持っていないところがあった。でも、グレゴフィリップ殿下は『運命の人』なので、絶対に将来の王妃として、認められるという自信はあったし、グレゴフィリップ殿下も励ましてくれて、それが大きな力になっていったの。それで、わたしは将来の王妃として、お二方に認めてもらうことができた。その時は、グレゴフィリップ殿下と一緒に大喜びしたわ。そして、正式な婚約式は学校の卒業後ということになったのだけれど、王室とボワデフィス公爵家の間ではこの日、婚約が成立することになったの」
「本当に良かったと思います」
「でも、グレゴフィリップ殿下とお会いすることができるのは、学校の長期休みの時だけ。手紙のやり取りはもちろん続けているわ。でも、それだけだとなかなかつらいところはあるし、寂しいことではあるわね」
「申し訳ないことに、今までそういう苦労をされていたことは、気づいていませんでした」
「気にしなくていいのよ。こういう話をするのは、ルデナティーヌさんが初めてで、この王国ではグレゴフィリップ殿下とわたしの両親しか知らないことなの。わたし、ルデナティーヌさんのこと、もう親友だと思っているから、話をしているのよ」
そう言うと、マドレアリーヌさんは微笑んだ。
「親友と言っていただいて、光栄です。ありがとうございます。親友としてのお付き合い、これからもよろしくお願いします」
わたしはそう言った後、頭を下げた。
「こちらこそ、ルデナティーヌさんのような方と知り合い、親友になることができ、ありがたいと思っているわ」
マドレアリーヌさんもそう言った後、頭を下げた。
そして、お互いに頭を上げた後、わたしは、
「お話がしにくいことかもしれませんが、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」
と言った。
すると、マドレアリーヌさんは、
「なんでしょう? まずお話をしてください」
と言ったので、わたしは、
「オーギュドステファ殿下は、マドレアリーヌさんがグレゴフィリップ殿下とお付き合いをされるようになった後、マドレアリーヌさんに対して、どういう反応をされたのでしょうか? 申し訳ありませんが、教えていただけるとありがたいです」
と言った。
マドレアリーヌさんは、
「オーギュドステファ殿下のことだから、ルデナティーヌさんが気になるのはよくわかるので、もちろん教えてあげるよ。オーギュドステファ殿下は、『お前が運命の人と出会えてよかった。先を越されたのはちょっとくやしいけどな』と言って微笑んだ後、『わたしもそろそろ運命の人と出会いたい。女性にこんなに声をかけているのだから、そろそろ出会ってもいい頃だと思っているんだ。ああ、運命の人に出会いたい』と言っていたわ。まあ、だからと言って、女性に声をかけまくりすぎる気がわたしもしていたので、『女性に声をかけまくるというのはちょっとやりすぎだと思います。そういうことをしているとますます周囲から嫌われますよ。王太子というお立場なんですから、その点は十分考慮してください』と言ったの。わたしの言ったことは、結局のところ聞き入れてもらっているとは言い難いけどね」
と言った後、少し苦笑いをした。
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