第4話 師匠

 コツコツコツ

 長い廊下を歩いて行くと大広間のような場所に出た。

 「これはこれは。ジャップ最強と噂されているMr.オダじゃないですか。ここに来たことを見ると‥‥‥。モニカはやられたようだな。」

 大広間の中央には三人並んでいる。そして二階には銃を構えている敵が一人。

 中央の男が煽ってくるような口調で喋ってきた。

 「お前らは誰だ?」

 「俺はグリムリーパー五大幹部が一人、プレだ。」

 「俺も同じく五大幹部が一人、ニコライ。」

 「私も同じく、五大幹部が一人、フォレンだ。」

 そう言い終わると、三人はナイフと銃を取り出した。

 「五大幹部と言っていたな。残りの二人はどうした?」

 「一人はさっき戦っただろう?モニカだ。あいつが行くと言って聞かなくてな。」

 「もう一人は?」

 織田作の言葉を聞くと、待ってましたと言わんばかりにプレはこすい笑みを浮かべた。

 「あと一人はね‥‥‥。Mr.オダはあるバーによく通っているそうじゃないか。そこの店長を、悪いが人質にとりに行っているのさ。」

 プレはあひゃひゃひゃひゃと汚い笑い声をあげていたが、織田作は冷静な態度でこう問うた。

 「そいつは、お前らより強いのか?」

 「あ?あぁ、タイマンならモニカに次ぐ強さだが俺たち三人でかかれば勝てる程度の強さだな。」

 「なら大丈夫だな。」

 織田作の答えに疑惑を感じるプレたち。

 「どういうことだ?」

 「なんでもない。ただの確認だ。」

 師匠マスターは俺より強いからな。




 一方そのころ。

 ブースト前の路地裏では。

 ザッザッザ

 「すいません。午後は私情で休みに‥‥‥。」

 「臥龍岡ながおか 錬司れんじはお前か?」

 「……誰ですか?あなた。」

 「失礼。グリムリーパー五大幹部が一人、アドーミだ。上の命令でな。お前を捕らえに来た。」

 二人の間に沈黙が流れる。

 「抵抗したら?」

 「力尽くだ!」

 そう言うとアドーミは走って近づき、ハイキックの体勢に入る

 ガッ

 マスターが足を掴むと、もう一方の足で顔面を狙う。

 その足も掴むと地面に叩きつける。

 「グッ‥‥。」

 アドーミは起き上がるとパンチを繰り出した。

 しかし、マスターは避けると腕を掴み、頬を掌底で殴る。

 その流れでマスターはアドーミの服を掴み、後ろに足をかけ倒しながら胸にもう一発掌底を叩き込む。

 「グッハ…、ゲッホ…」

 マスターは一歩引いて体勢を整える。

 しばらくのたうち回っていたアドーミはナイフを取り出しながら立ち上がった。

 少し足がふらふらしていたが、マスターは警戒と解かない。

 「うぉおらあぁぁ!!!」

 段ボールを持ち、目隠しのためか投げてきた。段ボールを突き刺すと感触がない。

 その時、アドーミの後頭部に強い衝撃が走った。

 マスターは目隠しを投げられた瞬間、回転しながらアドーミの後ろに回りその勢いで後頭部にハイキックをかました。

 「いやぁ、目隠し投げてくれてありがとう。君は多分私をなめてたんだろうけど、私も五年前までは前線に立ってた身なのでね。君ごときに負けてられないよ。」

 アドーミはプライドに大きな傷が付いたのか雄たけびを上げながらかかってきた。

 アドーミが手を振り上げた瞬間

 顔面、腹、水月、胸、顎に次々と強い衝撃が走る。

 腹を殴り、少し二人の間が空いた瞬間、ワンテンポ置き


 ドッギュ!


 マスターは体重の乗った横蹴りをアドーミの腹に入れた。

 「ぐがっはぁ…!ごっふ…!」

 「久しぶりに楽しめたよ。ありがとう。」

 アドーミはそのまま路地裏の端で意識を落とした。

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ワインレッドに愛されて 霜月 識 @shki

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