第17話 魔王では無いらしい
「魔王?」
目の前の少女を指し示す言葉に僕は困惑する。
魔王とは魔の支配者。
魔物を操り、それ以外を蹂躙する。
そんな極悪非道な人物がディアだと?
そんなわけは無いと思うが、周りの反応を見ると断言は出来ない。
ならばと思い、僕は本人に聞いてみることにした。
「ディア、君は魔王なのかい?」
すると女神は答える。
「,,,違うよ?」
ほら見た事か。
ディアは魔王ではない。
ただの可愛い少女である。
しかし、ディアは言葉を続ける。
「,,,私は『大魔王』。」
悪化したようだ。
大魔王とは魔王の上位種である。
大魔王は魔王10人分の戦力と云われており、神とも互角に渡り合える存在である。
大魔王に見られるだけで命あるものは息絶える。
そんな悪夢の中の悪夢な存在がディアだそうだ。
「,,,私に戦いの意思はない。話をしに来ただけ。だから落ち着いて。」
「それだけの威圧感を出しておいて、嘘はもっと上手くつくものよ!」
ディアは悲しそうな表情で皆に落ち着くよう伝える。
しかし母が噛み付くようにディアに向かって叫んだ。
威圧感?
何を言っているんだ?
「母上、威圧感とは?」
「この殺気が分からないの!?」
僕が感じない威圧感の事を母に問うとディアが驚く。
「,,,お義母さま?」
その言葉に母が反応し、ゆっくりディアに視線を戻す。
そしてその頃にはなぜかディアが正座をしていた。
「,,,お初にお目にかかります。私、ご子息のルイダ様と婚約致しました「ジエル=ディアブロスⅢ世」と申します。お義母様とは露知らずご無礼をお許しください。」
ディアが今までで1番長く喋った。
っていうかディアの名前そんな長かったの?
その驚きで硬直している僕とは反対に母がディアに近づく。
「今、私のことをお義母様と呼びましたね。ならば話は別にあります。」
母がディアに飛びかかる。
僕がそれを止めようとした瞬間母の顔がまた笑顔に戻り抱きついた。
「あなたがルイダの言っていた子ね。礼儀正しいし、とても可愛いわね。」
また母が壊れた。
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