第15話 いや、しませんけど,,,
「お父様、もう一度仰って頂いてもよろしいですか?」
「ん?だからお前はドイメーン家に嫁ぐんだ。」
僕と王女は固まった。
王の口からとんでもないものがでてきたからだ。
思い返してみれば僕の婚約者問題についておかしなところがあった。
貴族があるのだからこの国には婚約制度が存在する。
この国の貴族は10歳頃には既に婚約者か決まっておりそのまま結婚する。
しかし、僕には婚約者はいなかった。
確か僕も10歳頃にお見合いの話などは聞いたことがある。
だが、僕はそんなことよりダラダラする方が大事なので様々な理由をつけてその話題を遠ざけてきた。
11歳になる頃にはお見合いの「お」の字も耳にしなくなった。
僕は親がそれで諦めたのかと思っていたのだが、実際は王女との結婚が秘密裏に決まっていたらしい。
「,,,お父様。この国のことを考えるのならばドイメーン家ではなく他の国に嫁ぐ方が良いと思うのですが。」
「いや、私も国のことを考えたさ。だが、知りもしない赤の他人に娘を渡すとなるとどうも嫌でな。だから国の中で最も利益になる家に嫁がせようと思ったのだ。ルイダくんのことは昔から知ってるしね。性格上問題ないと思ったんだ。」
やはりこの王は頭が悪いらしい。
僕の性格に問題がないなんてどこを見ているのだろう。
さっきも問題を起こしたばかりなのに。
「一体なんの利益になるというのです?」
「お前も知っての通りドイメーン家は血筋を重要視する古参の貴族によく思われていない。ならば王家の血筋を受け継がない公爵家に新たに王家の血を取り入れることで誰も文句は言えないだろう?」
なるほど、誰も文句が言えないのなら王は父を使いやすくなるからな。
「母上、なんで僕にこのことをしらせなかったんです?」
僕は答えの分かりきった質問を母に投げる。
「だって、言ったらあの手この手で逃げようとするじゃない。自分の息子が生涯独身なんて恥ずかしいわよ。」
「なるほど。独身じゃなければ王女と結婚しなくても済むんですね。」
「えぇ、自分から結婚相手を見つけてくれればその必要はありませんね。まぁ、他人に興味の無いあなたには無理でしょうけど。」
そこでテンションのおかしい父が会話に割り込んできた。
「そうだ!お前はこれまで貴族の令嬢どころか他人との交流をほとんどしてこなかった。そんなお前に王女以外の結婚相手は居ない!大人しく結婚して私の負担を減らすがいい!ハーハッハッハッハー!」
そんな本音をぶちまけた父を僕はとても良い笑顔で絶望のどん底に突き落とす。
「結婚相手なら居るから問題ないね。」
先程とは逆に今度は親の方が静まり返った。
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