第7話 探索


リビングを見終わった。私はゆっくりと歩き出し、次の扉へ向かう。


最初に向かったのは書斎の扉。古びた木の扉を押すと、ギーギーという音が響いた。部屋に入ると、淡い木の香りと湿気の混ざった匂いが鼻をつく。


部屋の奥には年代物の木製デスクがあり、表面には薄く埃が積もっている。

デスクの上に置かれたタイプライターの上には一枚の紙が置かれており、

埃が滲んでいる。


机の引き出しを開けると、硬い音がして、内部から古い紙くずと書類の束がこぼれ落ちた。


古い革の表紙が擦り切れたノートがあり、そのページをめくると、使い古されたインクの香りが漂う。


窓から差し込むわずかな光が埃を舞わせ、その中で静かに時が止まっているかのような感覚を覚えた。


次に進んで、寝室の扉を開ける。


扉が静かに開くと、古い木の香りとともに、湿気を含んだ匂いが漂う。


シングルベッドが部屋の中央に位置し、布団の上には長い間誰も触れていないようで、埃が積もっている。


ベッドのシーツには軽いカビの匂いがし、押し込まれた枕の表面が少しシワになっている。


クローゼットの扉を開けると、古びた衣服がハンガーに掛けられており、布地には長い間の湿気で褪せた色合いが見られる。


衣服の間から微かにカビの匂いが漂い、肌に触れると湿った感触が伝わってくる。


台所の扉を押し開けると、冷たい空気と湿気が鼻に入り込む。

台所の中には古びた調理器具が乱雑に置かれており、シンクの中には長い間洗われていない皿やコップが積まれている。


皿の表面には小さなカビが生えており、触れるとべたつく感じがする。


冷たいタイルの床に立つと、足元に感じる冷気が不快で、歩くたびにタイルがわずかに冷たく感じられる。


キャビネットの中の調味料の瓶には、黒ずんだカビが付着しており、湿気が凝縮された匂いが立ち込めている。


浴室に入ると、湿気と古いタイルの匂いが鼻をつく。

バスタブの中には乾いた泡が散らばっており、触れると細かい泡がパラパラと崩れる。

シャワーカーテンには黒ずんだカビが点在し、その表面がべたつく感触がある。


床のタイルは冷たく、滑り止めの石鹸やシャンプーの瓶が転がっている。

水道の蛇口をひねると、カランカランという音とともに冷たい水が出てきた。


便所の扉を開けると、古い便器と冷たいタイルの床が見えた。

便器には黄ばみが付着しており、触れるとざらついた感触がある。

洗面台の鏡には細かなヒビが入り、洗面台の中には長い間使われていないタオルとカビの生えた石鹸が並んでいる。

便所の空気は湿気を含んだ不快な匂いが漂い、息をするたびにその匂いが喉を刺すように感じられる。


最後に仏間に到達すると、静けさと神聖な雰囲気が漂っている。


仏壇には古い仏像と花瓶が並んでおり、お香の香りが微かに感じられる。

香炉には乾燥したお香が積もり、火を灯すとふわりと香ばしい匂いが広がりそうな予感がする。

仏間の床は木製で、足を踏み入れるたびにわずかに軋む音がする。

部屋全体には、時が止まったような静けさが広がり、空気が清らかでありながらもどこか寂しさを感じさせる。


各部屋を探索し終えると、家の内部は広大で、どこも長い間放置された感があり、静寂と孤独が漂っていた。


どの部屋も、その時の流れと共に変わってしまったことを物語るような雰囲気を持ち、探索を進めるごとに不安と緊張が深まっていった。


二階への階段に向かうと、階段の入り口には古びた木製の扉がかかっていた。


扉は重厚で、長い間閉ざされていたせいで、周りには塵が積もっている。


私はその扉に近づき、手で触れてみると、塗装が剥がれ、所々にひび割れが見える。


扉の下の部分には、長年の間に積もったほこりが積み重なっており、手を触れると細かな塵が舞い上がった。


扉の前に立ち、手を掛けてみると、引き戸のような設計になっており、どうにかして開けられるのではないかと思ったが、動きは一切なかった。


扉の下に設けられた隙間を覗くと、階段は木材や段ボールで塞がれており、上へ進むことはできない状態だった。


階段の先に進むのは無理だと判断し、私は階段の前に立ち尽くし、どうにかして別の方法で探索を進めるしかないと心に決めた。


一階の探索を続けることにして、私は廊下の奥にある、閉じられたもう一つの扉に向かう。


扉の上には、錆びた金属の鍵穴が見え、その周りには古びた鍵がぶら下がっているような形跡がある。


扉の前に立ち、私は軽くノックしてみたが、反応はない。


扉の材質は厚い木でできており、かなり頑丈な印象を受ける。


扉の下部に目を向けると、扉の隙間からはわずかに光が漏れており、その隙間からは室内が見えそうで見えない状態だった。


扉を押してみても、鍵がかかっているのか、まったく動こうとしない。


扉の周りには、古い絨毯が引かれており、その上には積もった埃が一層の重厚感を醸し出していた。


私は鍵がかかっていることを確認し、その扉の前で立ち尽くし、無理に開けようとするのは諦めた。


別の探索の方法を考えながら、私は再び家の他の部分に目を向ける。


もしかすると、鍵がかかっている部屋の鍵や、階段の塞がっている理由について何か手がかりが隠されているかもしれない。


心の中で母の残したものたちに思いを馳せながら、私は再び広い家の中を歩き続ける。


各部屋を丹念に調べることに決めた。


母に何があったのか、それを知るために。


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