第2話 静寂に包まれて
霧に包まれた家が静かに佇む。周囲の自然と一体化し、朧げな輪郭が浮かび上がる。時間がその姿を溶かし、霧と融合している。
車が家の前に停まると、エンジン音が途切れ、周囲の静寂が深まる。
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霧の中で家の全貌が徐々に現れ、その古びた姿が強く印象に残る。
何か不気味な気配が漂っている。
古びた車のドアが軋む音を立てる。冷たい外気が湿気を含んで車内に流れ込み、
微細な霧の粒子が空気中に漂う。
ドアがゆっくりと開くと、冷たい風が肌に触れ、湿気がじわりと広がる。
ドアの隙間から外の景色を覗くと、視界が白い霧に覆われ、家の輪郭がぼんやりと浮かぶ。
少しだけ隙間を開けてから、慎重に車を降りる。
湿った草が靴底に触れ、踏むたびにその柔らかさと湿気がじわりと伝わる。
8月のはずなのに、ひんやりとした肌寒さが広がる。半袖では不適切だったかもしれない。
鼻をかすめる土の匂いが漂い、湿気を含んだ空気が深呼吸を促す。
風が木々をすり抜け、草を揺らす音が耳に心地よく響く。
遠くから小川の流れる音がわずかに聞こえ、静けさを際立たせる。
車のドアに手を伸ばす。
冷たい金属が指先に触れ、微かに震える感触が伝わる。
ドアが閉じる音と振動が体に伝わり、外界との境界が確立する。
閉じられたドアの表面がわずかに光を反射し、霧の粒子がぼんやりとした光を放つ。
外の空気が新鮮で、肌に心地よく触れる。
霧に包まれた風景の中、湿った土と木の匂いが鼻に沁み込む。
その冷たさが体全体に広がり、心が深呼吸する準備を整える。
目を閉じ、深く息を吸い込む。
森の香りが体を満たし、清涼感がリフレッシュさせる。
穏やかな気持ちが少しずつ戻ってくるのを感じる。
霧の中での息が、冷たくも清々しい感触をもたらし、心に安らぎを与える。
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