第26話
「うわぁ、待った甲斐あったね」
長い待ち時間を経て、ようやくカフェに入れた。
「だな」
律も同じように喜び、笑顔を見せる。
人気とは聞いていたけど、まさかここまでとは。
イチゴのジャンボパフェが大人気らしく、中に入るのに1時間以上かかった。
律はいちごのジャンボパフェを注文し、私は桃のパフェを注文した。
ジャンボは流石に食べきれないと思って普通のサイズを注文したはずなんだけど、
「思ったより大きい…」
パフェの大きさに圧倒された。
ジャンボには及ばないとはいえ、なかなかの大きさで。
全部食べたらお腹が冷えそうだ。
「でかすぎ…!」
パフェの大きさに驚き、律の目がキラキラしているのを見て微笑む。
律は大の甘党で、毎日そんなに食べてよく太らないよねってぐらいお菓子を食べる。
「いただきます」
スプーンでアイスをすくおうとした。
「あ、ちょっと待って!まだ写真取れてない」
律はスマホを取り出し、写真を撮ろうとした。
「もう、アイス溶けちゃうじゃん」
「ごめんごめん。あと20秒だけ待って」
「はいはい」
律が写真を撮るのを待っている間、
食べ切れるかな…。
なんて思いながらふと窓の外を見ると、シェフの姿が目に入った。
「…シェフ、」
律はパフェに夢中で、シェフに気づいていないみたいだ。
「…え、」
シェフの隣にいる女性に目が留まった。
元カノ…。
この前律に聞かされた話を思い出した。
あの人が律の言ってた元カノ、なんだろうか。
「ねぇ律、」
必死に写真を撮っている律に話しかけた。
「ん?」
律がパフェから顔を上げる。
「この前言ってた話なんだけど」
「何の話?」
律が不思議そうに聞き返す。
「あそこに…」
シェフの姿を指さそうとしたけど、もうシェフの姿はなかった。
「何?なにか見えるの?」
「ううん。なんでもない」
「何それ〜」
律が笑いながら言う。
「食べよっか」
気を取り直してパフェを食べることにした。
「いただきまーす」
この前は元カノと何の話しをしたのか、聞こうと思っていたけど、返事が怖くて無理だった。
今日も私の知らないところで会っている。
元カノのこと、どうして何も話してくれないんだろう。
律とカフェに行く話をした時、話してくれても良かったんじゃない?
何か隠さないといけない事情でも…。
シェフのことは信じてるけど、
やましいことがないなら正直に話してくれればいいのに。
どうしよう…
明日はお家デートなのに。
初デートだからずっと前から楽しみにしてたけど、
いつも通りに接することができるだろうか。
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