第8話

…突然のトラブルが発生した。


スペシャルメニューの前日、厨房の冷蔵庫が故障してしまったのだ。


大切な食材が危険にさらされ、スタッフ全員が慌てふためいた。


「どうしよう…」

と、私は不安でいっぱいだった。


頭が回らない。

こういう時、どうすればいいんだ。


頭がうまく回らない。


シェフが指導してくれたのに。


今まで頑張ってきたのに。


全部、水の泡だ。


だけど、シェフは冷静だった。


「落ち着け、莉乃。まずは食材の確認だ!使えるものと使えないものを分けろ!急げ!」


シェフの指示に従い、スタッフ全員で食材の確認を始めた。


幸い、いくつかの食材は無事だったが、メインの食材が使えなくなってしまった。


落胆した。


よりによってなんで、


「これじゃ、スペシャルメニューが…」


だけど、シェフは諦めなかった。


「莉乃!しっかりしろ!」

「…っ、」


そうだ、初めから諦めてどうする。


まだ何もしてないのに、どうせ無理なんて思ったらダメだ。


「代替の食材を探すぞ。市場に行って、新鮮なものを手に入れるんだ」


シェフと私は急いで市場に向かい、代替の食材を探し始めた。市場は賑わっており、新鮮な食材がたくさん並んでいた。


「これならいける」


と、シェフが選んだ食材を手に取り、急いで厨房に戻った。


厨房に戻ると、スタッフ全員が協力して準備を再開した。時間は限られていたが、皆の協力で何とか間に合いそうだった。


この仕込みに失敗したら…

どうしよう、


焦って手元が狂う。


「莉乃、落ち着け。お前なら大丈夫だから」

シェフが励ましてくれた。


そうだ。

今日のために頑張ってきたんだ。


私は深呼吸をして、再び集中力を高めた。シェフの指導を思い出しながら、丁寧に料理を仕上げていった。


そして、ついにスペシャルメニューが完成した。


「どうでしょうか?」


と、シェフに見せると、シェフは満足そうにうなずいた。


「うん。上出来。これならお客様も喜んでくれるだろう」


その言葉に、私はほっと胸を撫で下ろした。




翌日、お客様が次々と来店し、スペシャルメニューを注文していく。


厨房は忙しさに包まれ、私は一心不乱に料理を作り続けた。シェフのサポートを受けながら、全力で取り組んだ。


お客様からの反応も上々で、たくさんの笑顔が見られた。


ランチタイムが終わり、ディナータイムに向けて準備を進めていた。


「ありがとうございます、シェフ。あなたのおかげで、こんなに素晴らしい経験ができました」


シェフは優しく微笑んだ。


「別にお礼を言われる筋合いはない。莉乃の努力が実を結んだだけだ。それと、まだ最後まで終わってないから気を抜くなよ」


「はい!」


今日、最後のスペシャルメニューも作り終え胸を撫で下ろした。




…だけど、最後のお客様にスペシャルメニューを提供した後、突然怒りの声が聞こえた。

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