突然ディープキスをされて……

 その後――夏希と冬香ちゃんは学校に行ってしまい、俺は一人で洗濯物を干していた。


「ふう……」


(これで全部か……)


 最後の一枚を干し終えた俺は、額の汗を拭いながら一息ついていた。すると――家の中にチャイムが鳴り響いたため、俺は玄関の扉を開いた。


「どちら様で――」


 すると突然、俺は唇を重ねて――舌を絡み合うディープキスをされた。その相手は――色坂茜だった。彼女は名残惜しそうにして唇を離すと、頰を赤らめながら言った。


「久しぶりね……」


 俺は呆然としながらも何とか言葉を絞り出すようにして言った。


「あ、ああ……久しぶりだな」


 俺が動揺していると茜が突然抱きついてきたため思わずドキッとする。そして――耳元で囁かれるように言ったのだ。


「私ね……あなたのことが好きすぎて、どうすればいいか分からないの」


(えっ……?)


 突然の告白に頭が真っ白になる俺に対して、茜は更に話を続けた。


「だからね……私と一緒に来て欲しいの。お願い……できるかな?」

「えっと……どこに行けばいいんだ?」


 俺が聞き返すように言うと、彼女は妖艶な笑みを浮かべながら言ったのである。


「私の家よ」


(えっ……?)


 俺は一瞬何を言われたのか理解できなかったのだが――次の瞬間には我に返っていた。そしてーー慌てて茜から離れようとしたのだが、既に遅かったようで、彼女に腕を引っ張られてそのまま歩き出した。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 俺は必死に抵抗するのだが、茜の力が強く振り払うことができない。そうしている間にもどんどん夏希の家との距離が離れていく。


(このままじゃヤバい!)


 俺は焦りながらも何とか打開策を考えるのだが、何も思いつかないまま時間が過ぎていく。そして――ついには茜の家に着いてしまった。


「入って……」


 茜はそう言って俺の手を引くと家の中に入っていった。そしてそのままリビングへと連れていかれると、ソファーに座らされたのである。それからしばらくの間沈黙が続くことになったのだが――やがて茜が口を開いたのだ。


「ねえ……」


(目的はなんだ……?)


 俺は警戒心を抱きながらも返事をすることにした。


「なんだ?」


 俺が聞くと、彼女は恥ずかしそうにしながら答えた。


「その……ヤってもいいかな?」

「ヤるって何を……」 

「セックス……」

「なっ……」


(こいつ正気か!?)


 俺は動揺を隠しきれなかった。しかし――それ以上に気になることがあったのだ。それは、茜の息遣いが荒くなっていることだ。まるで発情しているかのような様子に恐怖すら覚える俺だったが、必死に考えを巡らせるものの何も思いつかない。すると――突然彼女が抱きついてきたかと思うと、そのまま押し倒されてしまう。


 そして――馬乗りになった状態で見下ろしてくると妖艶な笑みを浮かべながら言ったのだ。


「ごめんね……でもこうするしかないの」

「やめろ! やめてくれ!」


 俺が叫ぶようにして言うと、彼女は一瞬驚いたような表情を浮かべた後で言った。


「どうして? 私のこと好きじゃないの?」

「それは……確かに嫌いではないんだけど……」


 俺が言い淀んでいる間にも、茜はどんどん顔を近づけてくる。そして――ついに唇が触れ合いそうになったところで俺は慌てて顔を背けた。しかし――それでも強引にキスをされてしまうことになったのである。


「んんっ……!」


(くそ……このままじゃやばい!)


 俺は必死に抵抗するもののやはり力が入らないためどうすることもできないでいた。そうしているうちにも舌まで入れられてしまい口内を蹂躙されていくことになるのだが、次第に頭がボーッとしてきたため何も考えられなくなっていったのだ。それからしばらくしてようやく解放された時には、俺の意識は朦朧としていた。そんな俺を見て、茜は満足げな表情を浮かべると言った。


「大好き……」


 そして――再びキスをしてきた。今度は触れるだけの軽いものだったが、それでも十分に刺激的だったようで、俺の体は敏感に反応してしまったようだ。そんな様子を見て茜はクスッと笑うと、そのまま俺の上に跨ったまま服を脱ぎ始めた。


「お、おい……何してるんだ?」


 俺が慌てて聞くと彼女は答えた。


「これからセックスするのよ」

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