悪の組織のアジトに潜入して……

 第4悪の組織のアジトに到着した俺たちは、早速中に入ろうとしたのだが……入り口には鍵がかかっていた。


「おい!  開かねーぞ!」


 俺はそう言うと、茜はキョトンとした表情を浮かべる。それからハッとしたような表情を浮かべて口を開いた。


「あっ、そうだった……」

「忘れてたのかよ!?  どうすんだ?」

「ちょっと待って……」


 茜はそういうと、扉に手を当てた。すると、彼女の手が光り始める――そして、そのまま手をかざすと扉がゆっくりと開いたのだった。


「これでよしっと」


(相変わらず凄いな)


 俺が感心していると、彼女は得意げな表情を浮かべていた。それから中に入ると、薄暗い廊下が続いていたので俺たちは慎重に進んでいくことにした。しばらく歩いていると、前方に明かりが見えてくる。どうやらそこに誰かいるようだ。俺は小声で茜に話しかける。


「おい……誰かいるぞ」

「分かってるわよ……」


 俺たちは立ち止まり、ゆっくりと近づいていくと――そこには一人の男がいた。その男は白衣を着ていて、いかにも科学者のような見た目をしている。


「やあ、君たちは侵入者かな?」

「だとしたらどうするの?」


 茜が強気な口調で言うと、男は笑みを浮かべたまま答えた。


「決まっているじゃないか……始末するんだよ!」


 男がそう言うと同時に、地面から無数の触手のようなものが飛び出してきた。それを見た俺は驚愕し、思わず叫んでしまう。


「うおっ!?」


(何だこれ!?)


 驚いていると、茜が俺を守るようにして前へと躍り出た。そして、右手を前に突き出しながらこう叫んだ。


「咲き乱れる花よ!  我に力を貸したまえ!」


(これは……魔法少女の変身バンクか?)


 俺がそう思っていると、彼女の体が光に包まれた。そして、その光が収まる頃にはもう既に魔法少女の姿になっていたのだった。俺は思わず見惚れてしまった。なぜならその姿はあまりにも綺麗だったからだ。まるで芸術品のように美しいと思ったのである。そんなことを考えている間に、変身が終わったようだ。


「あなたも魔法で戦いなさい!」

「んなこと、言われなくても分かってるよ!」


 俺はそう答えると、男に向かって手をかざした。そして、呪文を唱える。


「我が魔力を糧に……いでよ!  フレイムランス!」


 すると、俺の目の前に炎でできた槍が現れる。それを勢いよく投げると――見事に男の胸にに命中した。男はうめき声を上げながらその場に倒れる。それを見た茜が話しかけてくる。


「よくやったじゃない」

「まあな……」


 俺が照れていると、彼女は続けて言った。


「それじゃあ……トドメを刺すわよ」

「了解」


 俺が返事をすると、茜は右手に力を込める。すると、手のひらに魔力が集まっていき――それが光となって放出される。そして、その光は男の体を貫いたのだった。それと同時に男の姿は消えてしまったのである。どうやら消滅したらしい……呆気ない最期だったなと思う俺なのであった――。


 俺と茜は第4悪の組織のアジトに侵入してから数分後――無事に制圧することができた。今は茜が倒した男たちを拘束して尋問しているところだ。ちなみに俺は少し離れたところで待機している。


「さてと、まずは名前を聞こうかしら?」


(名前か……)


 俺は茜の言葉を聞きながら、そう考えていた。すると、一人の男が答えた。


「田所だ……」

「へぇ〜、そうなのね」


 茜は興味なさそうに返事をする。それから彼女は続けて質問を始めた。


「それじゃあ次は何をしようとしていたのか教えてくれるかしら?」

「……それは言えない」


(まあそうだよな……)


 俺がそう思っていると、茜が口を開いた。


「それなら仕方ないわね……」


(ん?)


 俺が不思議に思っていると、茜は突然田所という男を殴り飛ばした。それを見た俺は慌てて止めに入る。


「ちょ!?  何してんだよ!?」


(いきなり殴るとか……コイツはやっぱりサイコパスだ!)


 俺がそんなことを思っている間にも、茜は次々と男たちを殴り飛ばしていった。そして――ついに最後の一人になったところで彼女は手を止めたのだった。


「さてと……」


(やっと終わったか?)


 俺が安堵していると、茜は再び質問を始めたようだ。


「それじゃあ、最後の質問よ……あなた達はなぜ私を狙ったのかしら?」

「それは……」


 男は言い淀んでしまうが、やがて覚悟を決めたのか口を開いたのだった――。


 第4悪の組織のアジトを制圧してから数十分後――俺たちは第5悪の組織の本拠地があるという場所にやってきていた。そこは山奥にある小さな村で、とてもじゃないが人が住んでいるとは思えない場所だった。


(こんなところに本拠地があるのか?)


 俺が疑問に思っていると、茜が話しかけてきた。


「なんとなく分かってはいたけど、やっぱり悪の組織は私を邪魔者として認識しているようね」

「そうなのか?」


 俺が聞き返すと、茜は呆れたようにため息をつく。


「当たり前じゃない……悪の組織にとって私は宿敵とも言える存在なのよ」


(確かに言われてみればそうかもな……)


 俺は納得していると、彼女は話を続ける。


「まあいいわ……とにかく、さっさと片付けちゃいましょう」

「そうだな……」


 俺たちはそのまま村の中へと入って行くことにしたのだった。そして、しばらく歩いていると――目の前に大きな建物が見えてきた。どうやらあれが第5悪の組織の本拠地のようだ。入り口には見張りらしき男が立っているのが見えた。それを見た茜が呟く。


「私が囮になるから……あなたはその隙に中に潜入しなさい」

「了解」


 俺が返事をすると、彼女はニヤリと笑みを浮かべる。それからすぐに行動を開始したのだった――。

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