魔法少女と共寝をして……

 夏希の家に上がった俺は、ソファに座っている。隣には夏希が座っており――そして、正面には冬香ちゃんがいる状態だ。


(なんか……気まずいな……)


 そんなことを考えていると、隣に座っている夏希が俺の手を握ってきた。彼女は顔を真っ赤にしながら俺を見つめている。そんな俺たちを見て、冬香ちゃんが口を開いた。


「ねえ、お兄ちゃんってお姉ちゃんのどこが好きなの?」

「えっ? それはもちろん全部だけど……」


 俺がそう答えると、夏希は更に強く俺の手を握る。


 そして、彼女は口を開いた。


「わ……私も……隼人の全部が好きよ……」

「お姉ちゃん、顔が赤いよ?」

「う……うるさいわね!」


 夏希は顔を真っ赤にしたままそう叫ぶと、冬香ちゃんに向かって口を開く。


「もう! 早く自分の部屋に戻りなさいよね!」

「えー、いいじゃん。私もっとお兄ちゃんとお話したいし……」

「ダメよ! ほらっ! さっさと戻りなさい!」


 夏希はそう言うと、ソファーから立ち上がって冬香ちゃんの背中を押し、リビングから追い出そうとする。しかし、冬香ちゃんは抵抗してなかなか出て行こうとしない。


「もう! お姉ちゃんのケチ!」

「いいから早く自分の部屋に戻りなさい!」


 そんなやり取りをして、ようやく諦めてくれたようだ。冬香ちゃんは自分の部屋に帰っていった。俺はそんな二人のやり取りを見終わった後、笑ってしまった。


「あはは! 夏希、妹に嫉妬するなんて可愛いな」


 俺がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にしながら口を開いた。


「そっ……そんなことないわよ! もう……」

「ごめんごめん。でもさ、夏希のそんなとこも可愛いと思うよ」


 俺がそう言うと、彼女は顔を真っ赤にしながら口を開く。


「なっ……何よそれ!」


(ツンデレ~!)


 そんなやり取りをしてから、俺は口を開いた。


「そういえば、両親がいないが……仕事か?」 


(アニメで一度も魔法少女――夏希の親って現れてないけど……)


「ええ、そうよ。仕事が忙しくて……家にいることの方が少ないから」

「そうか……」

「そんなことより隼人……お腹空いてる?」

「えっ? まあ、お腹空いてるけど……」


 俺がそう答えると、夏希は笑顔を浮かべてこう言った。


「それなら……私が何か作ってあげるわ!」

「えっ? いいのか?」


 俺は思わず驚いてしまう。しかし、夏希は笑顔で答えた。


「もちろんよ! だって……私たちは……恋人同士なんだから……」


 そう言って、彼女はキッチンに向かう。そして――数十分後に料理を持ってきてくれた。テーブルの上に並べられた料理を見て、俺は驚く。それはどれも美味しそうなものばかりだったからだ。特にハンバーグは見ただけで食欲をそそられる。俺は思わず感嘆の声を上げた。


「すっ……すげえ! これ全部夏希が作ったのか!?」


 俺がそう尋ねると、彼女は笑顔で答える。


「ええ、そうよ」

「すげえな……」

「さあ、召し上がれ!」

「ああ、いただきます」


 俺はそう言うと、箸を持ってハンバーグを口に運ぶ。すると、肉汁が溢れ出してきてとても美味しかった。


(うまっ! なんだこれ!? めっちゃ美味い!)


「どう?」

「めちゃくちゃ美味しいよ!」


 俺がそう答えると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべる。そして、自分の分の料理を食べ始めた。俺も彼女と同じように食事を続ける。しばらく沈黙が続いた後、夏希が話しかけてきた。


「ねぇ……隼人……」

「ん?」

「家に泊まり続けてもいいわよ……」

「えっ!? いいのか!?」


 突然の彼女の提案に驚きつつも、俺は喜んで返事をした。

 すると、彼女は顔を真っ赤にしながら答える。


「もっ……もちろんよ! 隼人は……その……私の彼氏なんだから……」


 そんなやり取りをしてから、俺たちは食事を終えた後――夏希の部屋に向かった。


(ちなみに妹の冬香ちゃんは、自室で夏希の作った料理を食べていた)


 夏希の部屋に入ると、俺は思わず固まってしまう。なぜなら、可愛らしい部屋だったからだ。白を基調とした部屋にはピンク色のカーテンや絨毯が敷かれており――ベッドの枕元にはピンクの枕が置かれている。そして、勉強机の上には可愛いぬいぐるみが置かれていた。


(なんか……めっちゃ女の子の部屋って感じだな……)


 俺がそう思っていると、夏希が話しかけてきた。


「どうしたの?」

「いや……なんでもない」


 俺はそう答えると、ベッドの上に置かれた布団に視線を向ける。すると、夏希が顔を真っ赤にしながら口を開いた。


「その……一緒に寝る?」

「えっ? いいの!?」


 俺はつい興奮気味に言ってしまう。すると、彼女は顔を赤くしたまま答えた。


「い……いいわよ……」

「やったあ!」


 俺はそう叫んでから、夏希と一緒に布団に入った。そして、そのまま抱き合うようにして眠りにつくのだった――。

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