第13話

13話



  「そうか」

 「いいだろう」


 「GAME」

 「だぁあ」


 俺達は、同じ4文字の言葉を発した。

 正確には俺はゲームと言えていないが。

 GAMEと、思えば、GAMEをする意思がある者は。

 それは、声が出せなくてもGAMEと言えるのだ。

 そういうものなんだ。

 それは、繋がりのある異世界なら、どこでだってそうだ。

 この異世界でも、そうなんだ。


  父親がコントローラーを握る。


 俺は、この赤ちゃんの手ではコントローラーを握れない。

 

 しかし、言うまでもなく、コントローラーを握ろうとする者は。

 手がなくてもコントローラーが握れる者なのだ。


 俺の手の前には、スマホが置かれていた。


 これが、俺のコントローラか。

 俺は、コントローラーを握った。


 メイド少女は、まだ眠っていた。

 好都合だ。

 このまま父親を殺害するまで、眠っていてもらおう。


 ディスプレイが現れる。


 俺のキャラクターは。

 俺を模した赤ちゃんだ。

 ふむ。

 赤ちゃんでなんとかなるのだろうか。


 とにかく、デッキ確認だ。


 【ベイビーアイスボール:消費MP3 5ダメージ】 2枚

 【ベイビーアイスシールド:消費MP3 10シールド】1枚

 【ベイビー正拳突き:消費MP3 3ダメージ 】3枚

 【ベイビー前蹴り:消費MP3 4ダメージ】3枚

 【ベイビー三戦:消費MP10 】1枚


 初期デッキは10枚。

 初めに見た父親のカードより消費MPは半分以下だが、ダメージもシールド値も4分の1しかない。

 これで、父親とゲームになるだろうか。

 しなければならない。

 勝たなければ。勝つんだ。

 父親を殺害するんだ。

 

 ベイビー正拳突きは、消費MPはベイビーアイスボールと同じだが、ダメージが2下回る。

 ならば、ここでは確認できない副次効果なりコンボがあるはずだ。

 ベイビー前蹴りも、消費MPは同じでも、ベイビーアイスボールより威力が1下がる。

 何か、意味があるはずだ。

 ベイビー三戦は、消費MPが10だ。

 ともすれば、父親が使っていたアイスシールドと同等の防御効果があるのではないだろうか。

 しかし、効果は消費MP以外何も書かれていない。

 実際に、使ってみなければ分からないか。

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