第9話


  弱中強が、ボタンの押す力加減によってあるようだ。

 強は、全力でボタンを押さなければならない。

 もっとも、俺の全力の力で押した場合を強と言ってるだけで、

これよりも強い押し具合があるかもしれないが。


 メイド少女のボタン捌きで、ディスプレイの中のメイド少女が、ミルクを

ディスプレイの中の俺に飲ませようとする。

 果たして、これで現実世界での俺がミルクを飲む事になるだろうか。

 ミルクぐらい、普通に飲ませられないのか。

この異世界は。


 ボタンの押し具合が、タイミングが上手くいくと、ミルクを飲んだような気になる。

 やはり、ディスプレイの俺がミルクを飲めば、俺がミルクを飲んだ事になっているようだ。

 普通にミルクが飲みたい。


 満足にミルクを飲むと、ゲームが終了する。


 「良いボタンの押し具合よ諭記雄」


 そりゃ、どうも。

 さて、ミルクも飲んだような気がするし。

 両親のゲームの続きを観戦しよう。

 しよう。なんだが、眠い。

 赤ちゃんだもんなぁ。


 「ねんねしようね諭記雄」


 俺は、メイド少女に部屋の外に連れていかれる。

 そして、両親は運ばれていく俺の事など気にも止めていないようだ。

 これが、異世界か。


 「赤ちゃんのー仕事はー」

 「寝る飲む泣くー」


 メイド少女が、歌いながら俺を運んでいる。


 まぁ、彼女のいう事は最もだ。

 今は寝ようか。


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