第8話


  【GAME START】


 アナウンスが流れ、ゲームがスタートする。


 俺は驚いた。

 メイド少女のコントローラー捌きに。


 メイド少女が握っているコントローラーは、十字キーとAボタン・Bボタン。

開始ボタン選択ボタンだけだ。


 だが、その少ないボタン数を、流れるように舞うように操る。


 これが、ただのメイドのコントローラー捌きか。

 これが、この異世界での当然のレベルなのか。

 だとしたら、この異世界はかなりのハイレベルな。

 全てを終わらせるためのクライマックスのための異世界なのではないだろうか。


 カエサルだけじゃない。織田信長もカール大帝もアレクサンダー大王も。

 アーサー王も。

 オロチも。滅びの竜も。滅びの魔女も。

 この世界で全てを終わらせるつもりなのだろうか。


 水守一族は、この世界で動くだろうか。

 動いてもらわなければ、終わらせられない。

 動いてもらうぜ。

 本家本元の水守一族にもな。

 水守卿。

 お前もこの異世界にいるんだろう。


 しかしだ、まずはこのゲームをして生き延びなければ。

 このゲームはきっと、メイド少女が俺にミルクを飲ませ、

俺がミルクを飲むゲームだ。 


 連打能力だけじゃない。

 ボタンを押すタイミングか。

 

 1つしかないボタンを押してみる。


 違う。こうじゃない。


 押す力強さを変えてみる。


 ボタンを押すタイミングだろうか。


 ボタンが1つしかないというのは、複雑でもある。

 

 やはりだ。

 ボタンを押す力加減も関係してくるゲームだこれは。



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