第7話


  まくしたてるのはやめてくれないか。

 彼女は今まくしたてている気がする。

 会って突然、俺を育て守るために生まれた存在だと言われても。

 少しぶりというのも分からない。


 「待ってたよ」

 

 いや、待ってたよと言われても。

 とりあえず、ミルクを下さい。


 「ふふ」


 「私を誰だと思ってるの」

 「貴方を育て守るために生まれた存在だよ」

 「ミルクの準備はばっちり」


 おお。

 なんかよく分からない事を言ってはいるが。

 ミルクの準備は出来ているようだ。

 ありがとうございます。

 ミルクを下さい。


 「GAME」


 え。え。はい?

 いや、ゲームじゃなくて、ミルクを下さい。

 なんで、このメイドはこの流れで、今。

 GAMEの4文字を発するのだろうか。

 この異世界の人間とはこういうものなのだろうか。

 俺、異世界転生したばかりなんで、困ります。

 そのノリ。


 彼女は、待っている気がする。

 生きるためには、俺も応えなければならないのか。

 

 「びぃぃぃぃ」

 

 これで、いいのだろうか。

 生まれたばかりの赤ちゃんが、GAMEと言えるわけないだろう。


 【GAMEが承認されました】


 これでよかったようだ。


 メイド少女が、コントローラーを握る。


 俺はコントローラーを握れない。


 俺の手の届く所に、ボタンが現れる。

 

 成程。このボタンが、俺のためのコントローラーといった所か。

 

 なら、俺も握ろうコントローラーを。

 

 この赤ちゃんの手にコントローラーが握れなくても、俺がコントローラーを握る

と思えば。

 コントローラーを握っている事になる。

 俺は、コントローラーを握った。

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