第6話 目的

 俺は何とか3年前にジャンプ出来たようだ。後遺症が無いのは救いだが、もしかして俺も能力者なんじゃないか?後遺症のない能力者…


【違うよ、裕二は能力者じゃないよ。美咲ちゃんとは違うよ。雰囲気と感覚で解るもん】


 るいさんほどの高能力者はそんなことも解るのか?凄いな。


【そうですよね…俺は後遺症ないのが救いか】


【でもさ、それもなんとも言えないよ。かえって怖い気もするし、とにかく早く目的果たして帰らないとね】


目的!!そう!美咲のお兄さん見つけないと。


 この無人島近海を航行するボートを見つけて、それで美咲のお兄さんなら救えるかも。


【るいさん、俺、ジェット借りてくる。ここって定期的にツアーのジェット来ていますよね?この海岸で待っていれば来ますよね?】


【来てると思うけど…あのさ〜丁寧語やめない?なんか他人行儀でヤダ。少なくとも彼氏彼女でしょ?さっきから裕二って呼んでるのに〜】


そんな、照れちゃって無理だよ。


俺も、るい、って呼ぶの?無理無理無理!!


そんな慌てふためく俺を見て、るいさんは、


覗き込むように下から見てくる。


だから、それ、可愛すぎるんだってば!!


【もしかして、本気で私のこと好きなの?】


 そんな、好きって…美咲のことは好きだけど、るいさんも好き?


 うーん、憧れてっていうか、理想像的な女性っていうか。だって可愛すぎてさ。直視出来ないって。


 でも、好きなんだろうな。この時間軸限定でも彼氏彼女は嬉しい限りだし、それに…


【ありがと。裕二。そうなふうに見てくれて】


【何?急になんですか?まだ何も言ってない】


【全部、聞こえていたよ。というよりも、声が漏れていたよ。そのストレートな表現出来るって美咲ちゃんが羨ましいな〜】


るいさんの彼氏は、そんなこと言わないのか。


 るいさんだそ!!こんな美少女そうそういないぞ。彼氏は何考えてるんだ?


 るいさんは、俺が見る限りは、とにかく可愛い。そして意外とある。かなりある。ショートカットは俺のどストライク!!痩せ過ぎてなくて最高!!



【全部外見じゃん!!料理とかは?】


【だから何も言ってないって…えっ!聞こえてる訳ないですよね?】


るいさんは、ニコッとして、


【読心術!!】


マジですか〜


じゃ、意外とあるってのも…あーあ、もう…


【全て読唇術で読めるんですか?俺、もう何も考えてはいけないって感じになりますよ】


るいさん、テヘペロで、


【嘘だよーん、読心術なんて体得してないよ。単純だから読めちゃうの!!】


くそ、騙された!!こうなったら、


壁ドン!!古いか…これ。


おっ、意外とこういうの弱いのか?るいさん。


【るいさん、俺、本気でるいさんのこと…】


【えっ?嘘…本気?だって、裕二。美咲ちゃんは?……私もほんとは少し気になってはいたけど…でも、駄目だよ。お互い彼氏彼女いるし、それに、最初に言ったじゃない?彼氏彼女になるのはこの時間軸だけだって…あー、もう何言ってんだろ、私…】


汗かいてるね。るいさん。


【嘘だよーん、仕返しでーす。パニくってるの見てすっきりした。俺を騙したからさ】


勝った!!俺。



えっと、るいさん?


どうしたのかな?下向いて黙り込んで、


【るいさん、ごめんね。怒ったの?】


【……】


泣かしちゃったかな…ヤバい…


【ごめんね。ほんとごめん】



何も言ってくれない…



【悪いと思ってるならキスして…】



えーーーーーーーーー!!!!!!!?


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