第9話 決定的な証拠

美咲は、森田の助けを借りて手に入れた証拠を警察に届けることを決意した。妹沙織が命を懸けて守ろうとした真実を明らかにするために、彼女は全力を尽くす覚悟だった。しかし、その前にもう一度、証拠を詳細に確認し、全てを理解しておく必要があった。


美咲と森田は、安全な場所を見つけて証拠を詳細に確認することにした。彼らは知り合いの弁護士、石田弁護士のオフィスを訪れた。石田弁護士は信頼できる人物であり、過去に幾度か美咲の家族を助けてくれたことがあった。


「石田先生、助けが必要なんです。これが妹が命を懸けて守った証拠です。」


石田弁護士はファイルを受け取り、慎重にページをめくり始めた。彼の表情が次第に険しくなっていくのを、美咲は見逃さなかった。


「これは…非常に重大な証拠だね。これがあれば、幹部たちの不正を完全に暴くことができる。」


ファイルには、保険会社の幹部たちが組織的に行っていた保険金詐欺の詳細な計画が記されていた。虚偽の保険金請求を行い、多額の金を不正に手に入れるための手口、関与している幹部たちの名前、そして具体的な金の流れまでが詳細に記されていた。


「田中祐介、藤井翔太…彼らがこれほど深く関与していたとは。」


美咲はファイルを読み進めながら、妹がどれほど危険な状況にあったのかを改めて実感した。沙織はこの不正を暴こうとし、そのために命を落としたのだ。


「石田先生、この証拠をどうすれば一番効果的に使えるでしょうか?」


石田弁護士はしばらく考えた後、慎重に答えた。「まず、この証拠を確実に保護する必要がある。そして、警察に届ける前に、マスコミにも情報を提供しておくべきだろう。これにより、幹部たちが証拠を隠す時間を与えず、一気に真実を明るみに出すことができる。」


美咲は石田弁護士のアドバイスを受け入れ、信頼できるジャーナリストに連絡を取ることにした。彼女はかつて沙織が信頼していたジャーナリスト、山本真理子に連絡を取った。真理子は真実を追求することで知られており、美咲にとっても頼りになる存在だった。


「真理子さん、助けが必要です。妹が命を懸けて守った証拠があります。これを公にする手助けをしてもらえませんか?」


真理子は美咲の話を聞き、すぐに協力を約束してくれた。「美咲さん、分かりました。全力でサポートします。まずはその証拠を見せてください。」


美咲は真理子に証拠を見せ、その内容を詳細に説明した。真理子はその場で記事を書き始め、準備が整い次第、公表する手筈を整えた。


「これで妹の名誉を守ることができるわ。沙織、あなたの正義を必ず証明する。」


美咲は心の中で妹に語りかけ、全ての準備が整うのを待った。真理子が記事を公表し、警察にも証拠を届ける手続きを進める中、美咲は次第に希望を取り戻していった。


真理子の記事が公表され、保険会社の不正が一気に世間に知れ渡った。警察も迅速に動き出し、関与した幹部たちを次々と逮捕し始めた。美咲は妹のために戦い続けた結果、ついに真実を明るみに出すことができた。


「沙織、あなたのために私は全力を尽くした。これであなたの名誉は守られる。」


美咲は涙を浮かべながら、妹の写真に語りかけた。彼女の心には、妹の微笑みが常に寄り添っていた。そして、その微笑みが美咲を前へと進ませる力となった。


美咲は新たな決意を胸に、これからも妹のように正義を貫き、生きていくことを誓った。彼女の心には、妹との絆が永遠に輝いていた。

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妹は本当に殺人犯だったのか?真実を追う姉が直面する衝撃の真相とは——。過去と現在が交錯する心理サスペンス。 湊 町(みなと まち) @minatomachi

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