乱射&能力名を決めよう


バケモノの武器に直撃し、斧は一瞬で砕け散る。

敵は「何が起きたのか」と放心状態になり、地面に堕落していった。

「雑魚。俺が殺ったみたいだな」


見た目からは想像出来ない破壊力。

タコ墨かね?見た目的にはそんな感じだが。

威力がな。

そもそもタコ墨って目眩まし「眼の前から消えることで、既にその場に居ないと相手に錯覚させ、追跡を振り切る手段」として使われてたはず……、それはイカ墨だっけ。


どちらにせよそんなに破壊力が有る攻撃じゃないことに変わりはなかった。

全然分かんね。

(もう一回やってみよ)

発砲する瞬間を脳内で再生すると、『それ』はもう一度放たれる。



バンッ



墨は一直線に飛んでいき、結果、行き止まりの樹木を真っ二つにしてしまう。

凄い威力だ。手榴弾、ライフルどころの騒ぎではない。

魔法だ。俺は魔法を手に入れてしまったのかもしれない。


”常に夢見ていた、あの能力を”


俺は空に向けてタコ墨を乱射する。


感情は完全に顔に現れ、それは狂いに満ち、崩壊していた。

先程まで気にしていなかった上空に潜む鳥型を派手に撃ち落としまくる。


手の平は今や銃口へと変化し、全てはバケモノへ向けられていた。

「ギャハハハッ!シューティングゲームだ!」

図体ごと吹き飛ばされ、辺りはタコ墨、血の雨が降り注ぐ。


それから数分間、爆発音がただ過ぎる日常のように流れ続け、俺の魔力的な物は限界の域に達していた。


(やり過ぎたかもしれない)

後になってそう思う。が、一生バケモノ達が地獄から帰還することは無いだろう。

一応、何匹か土に埋めておく。その辺に生えてた花も供え、よし、これで完成。


そういえば……、

能力名決めてなかった。

何が良いかな。俺は能力名の案を考える。

「最強殴り」ダサい、「漆黒の導き」何か変、「タコ」凄い弱そう。

色々考えたが、結局良い案は出なかった。

(しょうがないな。最終手段)

俺は見た目通り「Octopus ink「タコ墨」と名付けることにした。

よく考えると、案外シンプルで良いかもしれない。

能力名も決まり、俺はやっと木から降りることにした。


暗くなった巨樹の森で、自然の光が俺を照らし掛ける。

森の小動物、フクロウ、鳥達の鳴き声。そして、俺の深い溜息。


「そろそろ帰るか…」

寿司、ラーメン、海鮮とか、美味い飯も食いたい。そして何より銭湯、風呂に入りたかった。

俺は新宿を目指し、足を動かし始めた。

その足取りは、どこか軽いようにも見える。


あれから何時間歩いたのだろうか。辺りもすっかり暗くなり、夜…深夜になっていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る