第19話:黄泉比良坂での再会。

遊月那姫ゆづきなひま阿加流姫あかるひめ異界神獣鏡いかいしんじゅうきょうを使って黄泉比良坂の入り口までやってきた。


ふたりが現れた場所にはデカい門があって、その門の屋根の下に表札みたいな

ものがかかっていて、そこに「女妊洞にょにんどう」と書いてあった。


「ここが黄泉の国?、アカルちゃん」


「違うよ・・・ここは黄泉比良坂への入り口」

「黄泉の国に通じる女妊洞って洞窟だよ」

「異界神獣鏡は直接黄泉の国には飛べないからね・・・だから入り口にでたんだよ」


「たぶん、遊星くんは黄泉の国には行ってないと思うからね」

「きっとこの洞窟を抜けたどこかの部屋にいるはず」


洞窟を抜けて少し開けた場所に出ると何軒かの塔が建っていた。

阿加流姫は三日月丸の切っ先に明かりを灯して各部屋の扉を開いては

遊星くんを探した。


とある部屋の前に止まった時、三日月丸がブルブルって振動した。


「遊月・・・きっとこの部屋だよ」


「わ〜派手な部屋ね・・・」

「ラブホみたいだな・・・、今はラブホって言わないけど・・・」


「アカルちゃん、ラブホって?」


「ラブホはラブホ・・・あんたも遊星くんと行く時が来るかもね」


「分かんないんですけど・・・」


「そのうち分かるって・・・それよりその扉開いて遊星の名前呼んでみ?」


遊月はがその派手目の部屋の扉を開くと、中に数人の人がたむろしていた。

誰が誰だか分からないから遊月は遊星の名前を呼んだ。


「遊星、いる〜?」


「遊月ちゃん?」


阿加流姫は三日月丸を声のしたほうに近づけると、ぼ〜っと遊星の姿が浮かび

上がった。


「遊星・・・よかった・・・助けに来たんだよ」


「遊星くん、のんびりはしていられないの鬼たちに見つかるとやっかいだからね」


「アカルさんまで・・・なに?、ふたりして俺を助けに来てくれたの?」

「よかった〜もうダメかと思ったわ・・・」

「遊月ちゃんとイヤってほどエッチしなきゃ死ねないよ・・・このまま寂しく

あの世に行くのかなって、めっちゃ落ち込んでたんだ」


「エッチって・・・遊星、ひとりで帰れそうなくらい元気じゃない」


「そうでもないけど・・・」


「こんなとこでエッチなんかできないんだから・・・」

「イチャイチャするのは生きて帰ってからにして、ふたりとも」

「遊星、黄泉比良坂の門のところまで戻るからな、そこで儀式をやる」


「儀式?」


「あんたを生き返らせる儀式」


三人は来た道を戻っていった。

一番前に阿加流姫、続いて遊星・・・で遊月。


「遊月ちゃん・・・俺の尻にしがみつかないでくれる?・・」


「だって・・・ハグれちゃうと困るし」


「一本道なのにこんなところでハグれるわけないだろ」


「遊星〜オナラしないでよ」


「もし出たらごめん?」


「そんなことしたら、お尻の穴に指つっこんで一生、オナラ出なくしちゃうよ 」


「その前に俺の屁をくらったら遊月ちゃん失神すると思うけど・・・ 」


「うそ、そんなに強烈なの?」


つづく。



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