第17話:死んじゃった遊星。

「もう僕に飽きたんだ・・・」

「勾玉までもらって誓い合ったのに・・・」


「なに?勾玉をこの男に渡したのか?」


小太りでちっこい男がしゃべった。


「ちょっと世戸よこちんは黙っててくれる?」


「この男もヨコチンていうのか?」


「ああ正式には「世戸御雷よこみかづち」って言って私の許嫁」


「許嫁?・・・この人が?遊月ちゃんの許嫁・・・こんなダサいおっさんが?」

「で、なんで遊月ちゃんの許嫁がここにいるんだよ」


「遊月が神の国に帰って来ないから、心配で見に来たのだ」


「見に来たって?・・・」


「おまえとのことは遊月から聞いた・・・すいぶん世話になったようだな、

だが気の毒と思うが遊月は、私の許嫁・・・おまえに渡すわけにはいかん」


「え?遊月ちゃん、神の国に帰っちゃうの?」


「う〜ん、一度は帰って決着つけなきゃいけないかな・・・」


「遊月、決着とはなんだ・・・神代の時代から私と結ばれる定めであろう?」

「今も神代だがな・・・」


「あのね、遊星とは勾玉を渡しちゃった時点でもう切っても切れない仲に

なっちゃってるの」

「それに・・・もう契りだってとっくに結んでるし・・・」


「契りだと・・・なんてことを・・・」


「遊月ちゃん・・・契りってなに?」


「遊星はなに言ってるの・・・もうエッチしちゃってるってことだよ」

「勾玉の呪文通りになってるの、私たち」


「呪文のとおり?」


《月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と愛の契りを結ばん》


遊月は世戸ちんに聞こえないように流星に耳打ちした。


「ああ、なるほど・・・愛の契りね」


「え〜いなにをごちゃごちゃやっておるのだ・・・こ、こんな男と契りを

結ぶなど・・・許せん!!」


そう言うと世戸御雷よこみかづちは雷を一発、遊星に落とした。


雷なんか食らった遊星は感電してバタンキューで一瞬にあの世に行って

しまった・・・あっけなく。


「世戸ちん、なんてことするの、バカ」


そう言って遊月は遊星に駆け寄った。


「遊星、息してないよ・・・死んじゃってるじゃん」


「これで思い残すことはなかろう・・・相手がおらんではな」


「それって逆だよ・・・こんなことして私が神の国に帰るって思ってる?」

「もう、あんたとは絶縁・・・婚約破棄」

「とっとと神の国に帰って!!」


「だが、その男が死んでおるでは他に選択の余地などなかろう?」


「あるよ・・・私、黄泉まで行って遊星を連れ戻して来る」


「死んだ者を生き返られるなぞ、できんぞ?」


「できるよ・・・異界神獣鏡があれば黄泉まで行けるんだよ・・・知らなかった?」


「そのようなものどこにあるのだ・・・黄泉に行ける鏡など聞いたことがないが」


「あるの・・・でもあんたには教えない・・・絶対」


つづく。



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