第4話:月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と愛の契りを結ばん。

「それにしてもクラスの女子全員にフられるような男子の彼女なんて私が人様から

笑われちゃうよ」

「その時は俺も一緒に笑われますから・・・俺たち相思相愛一心同体でしょ」


「なに勝手なこと言ってるの」


「俺、何も嫌われるようなことしてないです、普通に生きてるだけです・・・」

「勉強は、まあイマイチだけど運動もまあダメだけど」

「でも漫画が好きでアニメが好きで美少女育成ゲームが好きで美少女フィギュアが好きで、緑黄色なんちゃらが好きで・・・。


「それだけ好きなものがあれば充分だよ」


「しょうがないね・・・じゃ〜まずはお友達から・・・それでいい?」


「いいです、それで、充分です」

「で、遊月ちゃんに会いたくなったらどうやってご連絡すればいいんですか?」

「スマホとか持ってます?」


「スマホがなにか知りませんけど・・・」

「そうね・・・じゃ〜この勾玉、渡ししておくから」


そう言って遊月那姫ゆづきなひめは首から下げてたネックレスを外して

遊星に渡した。

それはブルーに透き通った美しい勾玉だった。


「その勾玉、貸すだけですよ、大事なものだから落としたり無くしたりしないで

くださいね」


「分かりました・・・命に代えて守ります」


「また、そう言う大袈裟なことを普通に言うからクラスの女子から軽視される

んだよ」


「だってそのくらい大事な勾玉なんでしょ?」


「そうだけど・・・」

「私に会いたくなったら、その勾玉を握って呪文唱えるの」


「わ、分かりました・・・で、なんて唱えたらいいんですか?」


《月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と愛の契りを結ばん》


「そうすれば、私が現れるから」

「ひとことでも間違えたら、私とは会えないよ」


「分かりました、メモしときます」


「じゃ〜ね・・・私、用事があるからもう行っちゃうからね・・・またね遊星」


「ああ、またね遊月ちゃん」


そう言うと遊月那姫は流星の前から一瞬でフッと消えた。


「うそ?消えた・・・普通の女子だって思ってなかったけど神の国から来た

ってのは本当だったんだ・・・でも、遊月ちゃん・・・め、めちゃ可愛い・・・・」

「家に帰ったらパンツ履き替えよう」


遊星は遊月のあまりの可愛さにおしっこをチビってしまっていた。


「あの可愛さに慣れないと毎回会うたびにチビってたらキリがないな」

「だけど、あの可愛さは俺が死ぬまで飽きないだろうし・・・」

「ああいいや・・・遊月ちゃんがいなくなるより我慢できるから・・・」


「そうか・・・呪文唱えたらいいのか?、ちゃんと覚えとかないとな」


「なになに、愛の契りって?・・・意味深な呪文だよな」


《月の夜に我と遊び、我と戯れ、我と愛の契りを結ばん》


「って唱えたらよかったんだよな?・・・」


「呼びました?」


「おわ〜〜〜〜び、び、び、びっくりした」


「私を呼んだんでしょ?」


「いや、呪文試してみただけですけど・・・」


「あのね、面白半分に私を呼ぶのやめてくれる?」


「勾玉、返してもらうよ」

「呼び出すなら、せめて一日置きくらいにしてくれるとありがたいんだけど」

「そんなに頻繁に呼びだされるくらいなら遊星のそばにいたほうマシです」


「じゃ〜ずっとそばにいてよ」

「俺から離れたら呪文唱えますよ」


「しょうがない人・・・勾玉渡しても勾玉で私を呼び出す意味ないでしょ」


「人間界に来たばかりでしょ、どうせ行くとこないんでしょ?」


「ホームレスにならないよう、お世話になるところはちゃんと確保してあります」


つづく。


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