第3話:いじわるな遊月ちゃん。

「僕を見捨てないでよ、遊月ちゃん・・・」


「死にたいんでしょ?」


「たしかにさっきまではそう思ってましたよ」

「でも、今は違います、遊月ちゃんって言う意中の人と出会いえたんですよ、なのに

死のうなんてやつがいたら大バカ者ですって」


「しょうがありませんね」


遊月那姫ゆづきなひめは困ったように自分のほっぺに人差し指を当てた。


「わはあ〜〜〜〜めっちゃ可愛い、そのあざといしぐさ・・・体から力が抜ける・・・うう」


「可愛いなんて言われると照れますぅ」


「だって可愛い以外他に表現にしようがないじゃないですか?」

「はっきり言って一目惚れです・・・はっきり言います愛してます」

「俺はもう遊月ちゃんしか考えられません」


「え〜なんだか遊星、放っておくとどんどん暴走して行きそう」

「あなた女の子みんなに一目惚れとか愛してるとか軽々しく言ってるんでしょ?」


「そんなことないですよ、俺は可愛い人には素直に可愛いって言ってる

だけだし、好きな人には自分の気持ちを素直に伝えてるだけです」


「遊星・・・あなたイケメンくんだし見た目悪くないですけど、私、もっとこう、

たくましくて強うそうで頼り甲斐があって少しくらいのことじゃ動揺なんかしない

メンタルが強そうで包容力のあるような人が好きなんですけど」


「いっぱいご希望並べましたけど・・・それって俺とキャラ真逆じゃないですか」

「遊月ちゃんは食用蛙の皮ひんむいたみたいなマッチョがいいんですか?」


「遊星には無理でしょ?・・・だからね〜諦めたほうがいいですよ」


「諦めらめろって、そんなぁ・・・分かりました・・・やっぱり俺、死にます」

「これ以上生きてたってなんにもいいことなんてないんだ・・・」

「愛した女性にもフラれて・・・いったい俺になにが残ってるって言うんだ」

「母ちゃん・・・息子の先立つ不孝をお許しください、親孝行できなくて

ごめんね・・・母ちゃんが握ってくれたおにぎり最後に食べたかった・・・」


「なに・・・悲しいこと言ってるの?」

「今度は?泣き落とし」


「ちょうどあと5分もしたら電車が来るので、それに飛び込んでみます・・・」


「今度は止めませんよ」


「え〜・・・だけどそんなふうに冷たく言われると俺の心は快感に打ち震える

んだよな」


「遊星、変態?」


「違います、Mなだけです」


「あのですね、チャンスってあるでしょ?」

「これから遊月ちゃんの期待通りの男になれるよう努力するんでもう一回ちゃんと

考えてもらえませんか?」


「あれ?死なないの?」


「遊月ちゃん、めっちゃいじわるですね」


「遊月ちゃんがどうしても俺のが彼女になるのがイヤっていうなら友達からでも

いいですから、なってもらえませんか?」

「俺を見捨てないでください、お願い!巫女姫様みこひめさま


そう言って遊星は神社に参拝する時みたいに手を合わせてパン、パンって遊月に

向かって叩いた。


「私に向かって手を叩かないの!!」

「困ったわね」

「私、神様に仕える身だから手を合わせてパンパンお願いされると断れないん

だから・・・」


それじゃ〜って言うんで遊星は遊月に向かって手をパンパンパンパン叩いた。


「何回叩いてるの・・・遊星バチが当たっちゃうよ」


つづく。


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